転生者は、苦悩する Lv.4【イナズマイレブン】 (ページ2)

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第142話・部室の落書きページ2

理事長がサッカー部を訪ねた理由は、全国大会へのエールだけではなくサッカー部の部室を見るためでもあったようだ。年季ものだと夏未から聞いていたようで、響木が「我々からの部室ですからな」と告げると円堂たちが驚愕の声を上げる。
　部室に入り、サッカーボールが入っていたカゴを退け響木が壁を擦り汚れを落としてから落書きが残っているという。
　そこには「俺たちは逃げたんじゃない！」と男らしい太い字が書かれていた。
　他にもロッカーや机、本棚らを動かしてみると「必殺技完成」や「強くなりたい」と切実な思いが時から四認められるものが多く見つかった。

「気が付かなかったな…」
「ああ、俺たちずっとここ使ってたのに…」
「40年もの歳月の中、いくら室内とはいえここまでハッキリと残るものなんだね…」
「まさに影の存在…」

　中には円堂のおじいさんの落書きまであるようだ。

「何もかもあの時のままさ」
「ここにはイナズマイレブンのすべてがあるんですなぁ、選手たちの血と汗と涙を感じます」
「あっ…」

　響木が懐かしく感じ、円堂たちが感動に浸っている中、Aもとある落書きを見つけた。
　――この字、見たことある…。

「どうした？」
「え…あ、いや…なんでもない」
「？」

　近くにいた風丸に声をかけられ視線を逸らしたA。
　誰の目にも止まらない小さく今にも消えてしまいそうな文字はどこか黒々とした感情が入っているように見えた。おそらくこれは、影山の文字だろう。チームメイトや円堂大介に対し、復讐を悟らせないよう親しくしたフリをするためなのか…―――果たして本音なのか。

　理事長はボールを手に取りリフティングを始めた。昔からサッカーが好きだったそうで、今では中学サッカー協会会長だ。すると理事長はバランスを崩しリフティングしていたボールを円堂の顔面に蹴っ飛ばししまう。

「顔面にナイスシュート！」
「ナイスではないと思うけど…」

　Aが笑う中彼女にツッコみをしたのは半田だった。
　理事長は円堂に「すまん」と謝りボールをカゴの中へと戻し、サッカー部がここまで活躍を見せているとなると今後部員が増えることが予想され、現在の部室だと手狭だ。そこで理事長はサッカー部の復活の記念と、全国大会出場へとご褒美と題して部室を建て替えることを提案する。
　一年生は大喜びしている。だが円堂はそれを拒否した。