第134話・サッカーバカ？私が？ ページ40
祝い事もそこそこに私たちは解散した。
「A！」
「あぁ、豪炎寺か」
何か用だろうか？
急いでいるのか駆け寄って来る豪炎寺。
「どうしたの？」
「いや、途中まで一緒に帰ろうと思ってな」
ほう、豪炎寺が何故私と一緒に帰ろうと？
「A、お前大会に出たいだろ」
「おっと！ いきなり何を言い出すと思えば、そんなことか。そうだねー出たいねー」
「適当にはぐらかすな。悪い癖だぞ」
「え、癖？ 癖、なの？」
「気付いていなかったのか？ 本当は出たいフットボールフロンティアも女子は出れないからって諦めているんだろう？ お前を見ていて何となくだが、分かった」
自分じゃまったく気づかなかった。私は面倒だと思うものは考える前に思考を放棄しているし、大会に出たいのは事実で、でも男女混同の大会じゃないからこそ私は一歩身を引いて円堂たちを応援しなければと…それは普通じゃないのだろうか…？
「最近練習にも集中していないところがある。…お前は、俺たちが成長するのが楽しみなんだろう？」
豪炎寺の言葉の一つ一つがドキッとする鋭い言葉だ。
私の心は揺らいでいる。傍観者でいいと思っていた序盤。だが、最近になって当事者になりたいという欲が現れ始めた。豪炎寺はそれに気づいている。
「それは今でも変わらないよ。けど…眺めているのと、実際にプレイするのじゃ訳が違う。私は試合を見ていたその熱をどこで解放したらいいの…！ 性別が違うだけなのに……こんなに悔しいことはないよ」
御影専農での試合も、帝国学園との試合も…私は見入るだけで実際に参加していない。参加して私も得点して、チームのために役に立ちたい。円堂たちと一緒にピッチに立ちたい。そのために…そのためだけに余る時間のすべてをサッカーに捧げた。
「…それでもお前は何かあるんだろう、やるべきことが」
「！！」
「お前の目的は知らない。だが…お前のすべてがサッカーへ捧げられているのであれば、それは円堂と同じくらいのサッカーバカだ」
「わたしが…サッカーバカ…」
豪炎寺は聡いのは知っていた。察しが良すぎて気持ち悪いくらいだ。――なんでそこまで、私以上に私のことを知っているのか…。
にしても、サッカーバカか…。不名誉な名称だな…まったく。
「訂正してもらいたい」
「その割に笑っているが？」
さっきまでの妙な空気感がお互い笑いだす。すると携帯にメールが届いた。
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活字不足卍(プロフ) - ご飯いっぱい食べて♡ (2022年6月9日 1時) (
レス) id: 63abfde266 (このIDを非表示/違反報告)
もち。(プロフ) - 最速で！最短で！まっすぐに！ 一直線に！…まさか、適合者…？？ (2019年7月8日 14時) (レス) id: 06ef4b6d18 (このIDを非表示/違反報告)
suraimu471(プロフ) - ブラフマーストラか、じゃあ次はブラフマシラーストラとかいう世界を七度焼き払う投擲だね！ (2019年7月8日 7時) (レス) id: 8c6c5cc2e1 (このIDを非表示/違反報告)
suraimu471(プロフ) - 現時点での夢主の強さはどの位かな？ (2019年6月19日 10時) (レス) id: 8c6c5cc2e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：活字不足卍 | 作成日時：2019年6月14日 18時
