第117話・悪い人ではない ページ23
私が雷門中のサッカー部、イナズマイレブンの資料がない話したところ
どうやら思うところがあるようで少しだけ顔を伏せた奥さん。
「そう、ですか。…イナズマイレブン、ですね」
「！ 奥さん、知っているんですか！」
「ええ。わたくしこう見えてもサッカーが好きで…40年前は竜巳が4歳でした」
「お子さんですか？」
「ええ。その竜巳も44。
孫も出来ています。Aさんはお母様は…」
「……7年前に他界しました」
「！ それは…ご愁傷様です」
「いええ。今は祖父母と一緒に住んでいますが、とてもよくしてもらっています」
親戚、といえば血のつながりのない親戚である奥さん。
母のことを知っていたようだが、亡くなっていたことは知らないようだ。
「してイナズマイレブンの資料をどうするおつもりですか？」
「貸していただけませんか」
「それは、何故…」
「…実は…」
現在の雷門イレブンの状況を話した。監督である人が解雇され、
地区予選決勝戦に出られないかもしれない状況にあり、
イナズマイレブンのOBに頼れないかと名簿を捜したところ
その名簿がないことが判明したことを。
「なるほど。それでわたくしたちに頼りに」
「はい」
「……」
じっと私を見つめる奥さん。その雰囲気はどこか慈しみを持っていた。
「…九重家は、破門した者を門から先に通したことはないと聞いています。
Aさん、貴方は聡い子です。だからこそ貴方はここへ来るのに
抵抗もあったかもしれません。本来破門そのものは貴方とは関係はない、
けれど破門されたのは自身の祖父であることを負い目を感じているはずです」
「……」
「Aさん、それは貴方が気にすることではありません。
ですから、どうか…もし時間があればまた…もう一度九重邸へいらしてください」
そうして奥さんは私に対し頭を下げた。私はその行動に驚き言葉をなくした。
「……」
「破門されたのは竜臣さんだけ。貴方は関りはないのです。だから…また」
「顔を！…顔を上げてください。奥さまが私に顔を下げる必要なんて、ありません！」
「Aさん…」
「機会があれば…再び私も、伺いたいです」
私はどこか毒気を抜かれてしまった。
なんせ、絶対になにかされると覚悟をしてきたのだから。
この人たちは悪い人じゃない。
会ったことのない大叔父や曽祖父の人柄はまだ推し測れるものではないが。
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活字不足卍(プロフ) - ご飯いっぱい食べて♡ (2022年6月9日 1時) (
レス) id: 63abfde266 (このIDを非表示/違反報告)
もち。(プロフ) - 最速で！最短で！まっすぐに！ 一直線に！…まさか、適合者…？？ (2019年7月8日 14時) (レス) id: 06ef4b6d18 (このIDを非表示/違反報告)
suraimu471(プロフ) - ブラフマーストラか、じゃあ次はブラフマシラーストラとかいう世界を七度焼き払う投擲だね！ (2019年7月8日 7時) (レス) id: 8c6c5cc2e1 (このIDを非表示/違反報告)
suraimu471(プロフ) - 現時点での夢主の強さはどの位かな？ (2019年6月19日 10時) (レス) id: 8c6c5cc2e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：活字不足卍 | 作成日時：2019年6月14日 18時
