転生者は、苦悩する Lv.1【イナズマイレブン】 (ページ44)

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第040話・秘密の逢瀬ページ44

翌日━━━━とある用事が済んでサッカー部の練習のため休日返上で
学校へ向かっている途中とある男に引き止められた。

「九重Aだな」
「見れば分かるでしょ。何か用……鬼道有人くん？」

私の前に姿を現したのは、帝国の鬼道だった。
おやおや、君のような人が興味本位だけで私に接触してくるだなんて…
何の風の吹き回しだろう。

「気になることがあってな、いくつか質問いいか？」
「答えられる範囲なら、どうぞ」

彼との逢瀬を誰かに見られるとまずいので、場所を変えて人気のない路地へと入る。
今壮絶な不良に絡まれるフラグ立ったぞ。
私はともかく、鬼道は帝国のスター選手だ。
暴力を振るわせるわけにも、振るわれるわけもにもいかない。
よしっ、ここお姉さんが守ってやろう！

「サッカーはいつから始めたんだ」
「え…」
「どうした？」
「あ、いや…別に」

あれ、もっとこう…なんかハチャメチャな質問を想像していた。
例えば…あの人との関係とか━━━━
それとも鬼道はまだ気づいていない？それなら、それで万々歳(？)なのか…なあ？？

「意外に普通の質問だったから」
「俺を誰だと思っているんだ？」
「ごめん…」

漫画版の貴方を見りゃあちょっと恐怖心すら抱くよ…。
なんだろう、あれ…不動とGO始まって間もない剣城を五割づつ混ぜ込んだツントゲな鬼道。
アニメのイメージが強いとギャップがありすぎて、混乱するやつ…

「そうだねぇ…サッカーは、7歳からだったかな」
「俺はお前のような女子選手を雑誌でも、どこの界隈でも聞いたことはない。
　何故そこまでして雷門にこだわる？
　お前ほどの選手であれば、総帥もお認めになると思うが」
「…それは、帝国に誘われている…スカウトって解釈でいいのかな？」
「どう取ろうと構わない。お前が望むなら俺から総帥に…━━━━」
「無理だよ…」
「なに？」

ダメとか、いやだとか、そんなんじゃない…。無理なんだ。
きっとあの人は認めてくれない。例え鬼道からの口利きがあっても。
それに私は今━━━━

「私、今の雷門で満足してる。
　彼らは強くなる。彼らの成長は、私の楽しみの一つでもある。
　だから私はこの場所を離れない。君とのサッカーはとても魅力的だ。
　━━━━けれど…円堂ほど気持ちのいい人間は、そういないよ」
「…フッ、なるほど…」

　彼は笑った。まだどこか後ろ暗い面があるように思える微妙な笑みを浮かべていた━━━━。