転生者は、苦悩する Lv.1【イナズマイレブン】 (ページ14)

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第012話・７年ぶりのページ14

悩んだときはここだ。

「お母さん…新しい子供たち、増えたんだよ。これからきっと色んな苦難もあるだろうけど…見守ってあげてね」

　母の眠る墓標を前に屈んで両手を合わせる。
　私は、悩んだことを母に愚痴りに来るのだ。最近はよく来てしまうのは、私があの人との再会を怖がっているからなのだろう。あの人は、私に会いに来ることはないけれど…私から会いに行くことはできる。
　でもそれを実行しないのは、私にその勇気がないからだ。ダラダラと時間を待っていたら…母と、父と別れてから7年も経過してしまった。

「…また、来るね」

　墓標の前から立ち上がり帰ろうと振り返ると――

「…Aか…」
「ッ…あ…」

　うそ…どうして……ここに？
　見慣れた黒い服を着て、相も変わらずサングラスでその目を隠す目の前に現れた男――影山零治。

「どうして、ここに…」
「…命日には来られそうにないからな、早めに来たまでのことだ」
「そう……」
「……」

　7年だ――。7年も口を聞かなかった父が目の前にいる。それもまさか母の墓標の前で、中学二年生のこの時期に再会だなんてどんな運命のめぐりあわせなんだ。

「……」
「……」

　私たちの間には長い沈黙――。
　母の墓標に膝を付け屈んで、両手を合わせ合掌する父…影山零治に違和感を覚える。

　アニメでは、最終的にいい人で終わった人。
　一期では鉄骨を落とし、ドーピングまでして雷門を…円堂を潰そうとした極悪非道人。
　二期でも禁断の技を行使して、佐久間、源田、不動らを利用してなおも雷門を潰そうとした冷酷残忍な人。
　三期ではまさかのイメチェンをし、デモーニオを使ってイタリア代表を乗っ取ろうとしたが阻止され、鬼道との和解後殺され、ガルシルドにいいように利用され、ルシェという幼い少女に心を許した…哀れな人――。
　続編のGOにおいても、クロノ・ストーン編のゲームで現れ…またギャラクシーにおいても、イナズマジャパンの監督にもなった人物。

　そこらの登場人物よりも数奇な運命を辿っている人が、アニメの中に登場すらしない私の母、九重幸を一人の女として愛し、生まれて来た娘の私をもサッカーから遠ざけるために…7年前、祖父母に預けた。
　そんな私が、今…自分のすべてを壊した男の一人として上げる円堂大介が育て、自身も参加していた雷門中サッカー部に所属しているなんて、知ったらどんな反応をするのだろう。