転生者は、苦悩する Lv.1【イナズマイレブン】 (ページ11)

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第009話・優勝を"宣言"　風丸side ページ11

「にしても意外だったんだよな」
「なにが？」
「Aがサッカーをやっていることだよ。どちらかというと華道とかやっていそうだったから」

俺がそういうとAは「ふふっ」と笑う。
なんだが笑われたのが気恥ずかしくて、
目を逸らしながら「笑うことないだろ」と不貞腐れると彼女は更に笑みを深くした。

「華道ね、出来なくはないよ」
「え、マジ？」
「マジマジ～、私色んなこと教え込まれたから」

懐かしそうに瞳を細める。話始める。
━━━━そういえばAはあまり自分の話をしないな。とふと思い出す。

「まあでも本気でやっている人には足元にも及ばないけど、器用すぎる節があるのか大抵はやろうと思えば出来るの。基本私、争いとか嫌いなの。誰かと比べ合うっていうのも…好きじゃない」
「……」

本気を出さずとも、難なくこなすことが出来る。
だから本気で取り組んでいる人間に対して失礼だと、
だから競うこと、比べることは嫌いなのだと。

そう語る彼女の表情はどこか悲しげで、おそらくこれまで実際にあったのだろう。
何気なく行ったことで、本気で取り組んでいる人の気持ちを踏みにじったことが。
彼女はそんなことをしてしまった自分に負い目を感じているのだろうか━━━━？

「けれど、サッカーは…本気でやらないとこっちが踏みにじられる。
　私、負けるのは嫌い…。だから本気で挑んで、本気で勝ちに行く。それがサッカーだった。
　今は試合は出来ないけど、ああして円堂や染岡、半田たちとボール蹴って、ランニングしてっていうのも楽しいから…
　納得している部分もあるんだけどね」

彼女は悲しげな表情を苦笑いに変え、今は誰もいない河川敷にあるサッカーフィールドを見つめ何を思うのだろう。

「来年は、絶対に私たち雷門中がフットボールフロンティアで優勝する！」

手のひらを拳にして高らかに宣言をする彼女の瞳は覚悟に満ちているようだ。

「大きく出たな…」
「うん！絶対だもん」
「…A…俺、やっぱりお前のこと勘違いしてたよ」
「え」
「お前はもっと消極的で、冷たい人間かと思った。
　傍から見ればそうなんだよ…隣にいるお前は、すごく凛としていて、氷河のような…。
　誰にも穢されない、お.かされない美しさがあるって。
　けど違ったんだな。Aはとっても情熱的な奴なんだな！」
「風丸…」

珍しくその海のように青い瞳を大きく見開いているA。