Not Alone… (ページ49)

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sn紫

「誰やこの声…。ん？佐久間くん？」

「え、佐久間がいるの？」

「絶対そうや！慎太郎の声もする。」

と言うことは大我や目黒、ラウールもいるはずだ。グラウンドに移動して来た様子。

話をしたいが今ここから動いていいものか…。

「どうするふっか。」

照も同じことを考えている様だ。
視線をあの2人に向ける。北斗は顔色こそ少し良くなったが気持ち的にも無理をさせたくない。樹も北斗の事で頭がパンクしそうなはず、判断を任せるのは難しいだろう。

「照と康二で佐久間達に俺らの現状を伝えて来て。きっと大我と慎太郎も北斗のこと心配だろうし。」

「ふっかさんは行かへんの？」

「俺は何かあった時に2人を守れる様にここに残る。」

「分かった。情報交換してくる。」

「頼む。あ、康二はウサギのままで。」

「え？」

「話してる間、足音を聞き取れる様にしといて。すぐ逃げられる様に。」

「了解！」

照は優しく康二を抱きかかえ体育館の入り口ではなく非常口から外へ出た。

移動している間にあいつらに見つからない様に…と心の中で何度も唱える。

「…深澤くん。」

呼ばれて振り向けば名前を呼んだのは樹ではなく、北斗だった。

久しぶりに聞いた北斗の声は覇気がなく弱々しい。

「どうした？」

「…ごめんなさい。俺のせいで…。」

「北斗のせいじゃないよ。」

「でも…俺がもっと強ければ…。」

「北斗、いい？誰だって弱いところはあるの。俺たちはお互いの弱いところを補っていく存在なの。だから1人で抱え込むな。お前には俺たちがいるから。」

北斗なりにいろいろ考えているのが分かる。
賢い北斗だからこそ、悪い考えが浮かべば芋づるの様に嫌な思考が頭を支配するのだろう。

俺はそこまで頭良くないし、気持ちを全部理解出来るわけじゃないけど、北斗のせいではない事ははっきり分かる。

「…ありがとう。」

「北斗、頑張ろ？俺たちみんなでここから出よう。」

「樹…うん。そうだね。」

結束が強くなった俺たちは自然と手を繋ぎ微笑み合う。

やっぱりこいつらは俺たちが守らなきゃな…なんて思っていた、その矢先。

耳が千切れるほどの爆発音が響いた瞬間____

風圧によって体が傾いた時に見えた景色は建物が崩れ落ちる最悪な景色だった。