Not Alone… (ページ48)

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sn紫

体育館に移動してから少しずつ樹の顔が不安気な表情になっているのに気付いた。

普段しっかりしてると言われているけど、こいつだって沢山の兄に囲まれて育ったやんちゃで甘えん坊な奴だ。

北斗のことを気遣う一方で自分の心のバランスがうまく保てていない様子。

それは照も康二も気付いているみたいで、次々と励ましの言葉を送る。
次第に明るくなる顔を見て俺たちも一安心。

「樹って大型動物？」

「うん。俺はライオン。」

「めちゃくちゃかっこええやん。ええなぁ、俺ウサギやねん。」

「康二くんのウサギは納得。(笑)寂しいと死んじゃいますよね？」

「うっさいなぁ。(笑)」

「俺はキツネ、照はオオカミだ。」

それぞれのイメージに合う動物だ。
特に康二くんは。(笑)

「北斗は？」

「北斗はトリ。タカになるよ。」

「タカって大きいやつ？」

「う〜ん…タカ科の中では小型だったかなぁ…。ワシが大型って前に北斗が言ってた気がする。」

「へぇ〜そうなんだ。ありがと、教えてくれて。」

案外バランスが良いかもしれない。
ただ、今の北斗には動物になってNの奴らと戦えるかは分からない。

「…ん？」

「どうした？康二。」

「なんか聞こえる…。ちょっと待ってな？」

ウサギになる康二は普段から他人より聴覚が優れている。ウサギの姿になれば人間の倍近い聴覚になり、人間には聞き取れない音や声が聞こえるらしい。

康二が光に包まれ気が付けばオレンジ色の瞳をした白ウサギが目の前にいた。