Not Alone… (ページ40)

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sn紫

まるで聴覚が失われたかの様な静けさ。
微かに聞こえる呼吸音や服の擦れる音が聴覚に異常がないことを示している。

「そろそろこの場所もバレそうじゃね？」

「だよな…。でも鉢合わせも怖いし。」

身動きできないことがもどかしい。

もし今奴らが来たらどうするか。
皆で逃げるか、それとも俺が囮になるか。

俺なら確実に後者を選ぶが、皆がそれを許さないことも知ってる。口に出して言えば絶対に止められるのは目に見えてるから何も公言しない。

「ﾝｯ…。」

小さな呻き声にいち早く反応した樹は寝ている北斗の肩を優しく叩く。

「北斗？北斗、分かる？」

「…じゅっ…。」

「まだ気持ち悪い？」

「…少しっ…。」

顔色は依然悪いまま。
それ程精神的に追い詰められているのだと分かる。

「しっ！」

入り口を見張っていた康二が囁く様に短く声を上げる。

彼の視線は入り口に向かっており、奴らの気配を微かに感じた。

これが野生の勘というものか。

「…みぃつけた。」

目の前に現れたのは青嶋さんではなく、周りにいたスタッフのうちの1人。

「さぁ、戦おうじゃないか。」

そう不気味に笑ながら言った彼の両手にはナイフがギラリと光っていた。

「北斗掴まって。」

樹が北斗に声をかけたのを合図に俺たちは本棚をうまく使い図書室を後にし、駆け足で別の隠れ場所を探しに走り出した。