Not Alone… (ページ16)

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st黒

「北斗、今日俺の家に来いよ。」

YouTubeの撮影を終えた途端、樹から声をかけられた。その目は俺の心を見据えているようだった。

「…いいの？」

「もちろん。」

「…じゃあ、お願いします。」

樹には全部お見通しなんだな。
嬉しい気持ちがある半面、迷惑を掛けているのではないかと不安な気持ちがよぎる。

自分の車で来たらしい樹は何も言わずに俺の家へと向かってくれた。急いで必要なものをまとめ再び車へと戻った。

何度も来た樹の家は相変わらず大雑把に物が置かれている。あれ、この前来た時にこれ片付けてあげたのに…。

「明日は？仕事あんの？」

「明日は、一応オフ。」

「そ、俺もオフだし、酒飲む？」

いつぶりの酒だろう。最近はあまり飲まないでいた。でも今日くらい良いかも。

「飲みたいな。」

「よしっ。じゃあシャワー浴びてからにすっか。北斗先に入ってきても良いよ。」

「…なら、お言葉に甘えて。」

慣れた通路を通りお風呂場へ。
熱いお湯を出して1日の疲れを洗い流した。俺、いつまでメンバーに甘えてんだろ。なんて今の現状が馬鹿馬鹿しく思えくる。

タオルで髪を拭きながらリビングにいる樹の元へ。樹は既にラフな部屋着に着替えており、「すぐ戻る！」と早足で風呂場へ向かった。

あ、ドライヤー先に借りとけば良かった。前回来た時の記憶を頼りにドライヤーを探したが見当たらない。でもすぐに来るなら待っていよう。

「お待たせ〜。」

「大丈夫だよ。ねぇ樹、ドライヤーどこ？」

「あ、悪い悪い！昨日眠さのあまりベッドで髪乾かしてそのまま寝ちゃって。(笑)持ってくるよ。」

「ﾌﾌｯ。(笑)」

樹らしい理由に思わず笑みが溢れた。