Not Alone… (ページ14)

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st桃

北斗はふとした瞬間にあの出来事が蘇る様で、急に耳を塞ぐ事があった。俺の部屋でくつろいでいたらいきなり縮こまって震え出した時は俺もびびった。

楽屋で樹や慎太郎がやっているのを見ていたから見様見真似で背中を摩り落ち着くまで声をかけ続けた。

「…ありがと。」

ふにゃりと笑った北斗はそのまま夢の中。
昔と変わらない笑顔に少し懐かしさを感じた。

眠りが深くなったのを確認して以前興味本位で購入した本の存在を思い出し、本棚を探す。

どんなタイトルだったっけ、と記憶を辿り見つけた1冊の本。

『AとN。〜価値観と未来が変わる〜』

「これだ。」

AタイプとNタイプはお互い対立し合う存在。
AタイプはNタイプに対し、元々は同じ種族である‘人間’を“排除”し、そして着々と我々Aタイプの数を減らしている事を不快に思っている。
一方Nタイプは存在する生き物の中で最も優秀で高貴な‘人間’の血を“獣”が汚したとしてAタイプを憎んでいる。

どちらも、自分達の種族の事を思いぶつかるせいで争いが起こっているのだ。

その争いの鍵となるのが‘結界’の存在。

「…結界って、そんな大掛かりな物なんだ。」

結界とは簡単に言えばAタイプとNタイプの戦場。ここでAタイプが“排除”されるか、結界の外に逃げ出せるかで未来が変わる。

読んでいけばいく程、今までの甘い考えが覆される。醜い争いなんてせず、話し合いで済まないのか、と言いたくなる。

でもこの世界に生まれたからには、現実を受け止めるしかない。

「ん〜…。」

びっくりした。
寝返り打っただけか。最近はよりかっこよさが増して大人びてきたけど寝顔は昔のまま。

昔ドラマをやった頃の甘えてきた北斗を思い出し頬が緩む。俺にとって北斗は、いつまで経っても可愛い弟なんだ。