Not Alone… (ページ8)

今日:2 hit、昨日:32 hit、合計:68,738 hit

・ページ8

st黒

メンバーでも知ってるスタッフでもない、変声機で変えてあるだろう機械的な声がした。

水…？何の事だ？

とりあえずここから逃げたい。腹痛は治っていないが、このままここにいてはマズイ。

耳を立てて声の主がいるかを確かめたが、人気がしない。ゆっくりドアを開けると誰もおらず、通路で仕事の話をしているスタッフやタレントの声だけが響いた。

「今のうちに…。」

楽屋に戻ろうとも思ったが、また腹の痛みが増してきた。そしてどこからか感じる視線。後ろを振り返っても目が合う人物はいない。

恐怖のあまり階段を駆け上り遠くへ遠くへと逃げるようにまた別のトイレに入って行った。

「はぁ…はぁ…。」

変な汗が出るのは腹痛のせいか、それとも嫌な視線のせいか。

少しずつ冷静になってきて先程の声の主の話を思い出した。

“僕が入れた水、飲んでくれたんだね”

ハッと数日前の事を思い出した。
あれはYouTubeの撮影終わり。帰り支度をしていたら鞄に見覚えのないペットボトルが。良く見かける飲料水で、慎太郎かジェシーの悪戯だろうとそのまま家に持ち帰った。

そして昨日、仕事へ行く際に飲み物を持って行こうと思い、その時に持ち帰った水を鞄に入れて行った。

昨日は基本的にその水を飲んでいたっけ。

「まさか…あの水に何か入ってるとか…？」

変な病気とかだと嫌だな、なんて思いつつ腹の痛みにも耐えていた。