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st黒
「ん〜……っ、ん？」
電気の光が眩しい。目を細めながら頭を回転させる。俺なんで寝てたんだ？
…あぁ、そっか。思い出したくないのに、思い出した。
「ほーくと。起きた？」
「わっ！」
いきなり目の前が暗くなり男らしい顔が広がった。
「しんたろー…おれ。」
「今日はお休みしよ。体調不良って事になってるから。」
「でもっ！」
「ペア撮影俺とだって。俺も昨日夜更かししちゃってて顔浮腫んでるからラッキーって感じ！(笑)」
納得いかない。人前に立つ仕事をしているのに、こんな個人的な事で仕事を休むなんて。どこか心の中でモヤモヤしてしまう。
「変なこと考えないの。今日の事は俺たち6人の秘密。北斗に何かあったら大変だから、今はゆっくり休もうね。」
「…みんなは？」
「撮影終わって次の仕事ある人もいたから帰ったよ。」
慎太郎の声は本当に暖かい。俺の髪を梳く手も大きくて優しい。
最年少なのに考えることは大人びていて、なあなあな事が大嫌いな彼は人として素晴らしいといつも思う。
「しんたろ、ありがとう。助けに来てくれて。」
「それ、樹にも言ってあげなよ？」
「ﾌﾌｯ、はーい。(笑)」
「それじゃ、一緒に帰ろ？今日は俺の家泊まっても良いから。」
「…分かった。」
皆で話し合ったんだろう。今の俺は1人で家に帰る勇気が無かった。だから泊まっても良いと言われて嬉しかった。
「…あ、慎太郎ごめん！もしかしてずっと膝枕してた？」
「うん、でも平気だよ…っ！」
「…平気じゃないじゃん。」
「へ、平気だよぉぉぉっ…。」
どうやら足が痺れた模様。こんな慎太郎も面白くて好きだ。(笑)
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作者名：あんこ | 作成日時：2022年8月7日 19時
