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数百メートル先の男子寮に居る野坂の声がすぐ側でAの耳をくすぐって、まるで隣に座って、顔を覗き込んで、そっと微笑んで見せてくれているような。
きっとそれは求めていた答え、なのに素直にその言葉に返事ができない。野坂に"好き"だと伝えられたあの瞬間と同じだった。
「他人から見て僕達の関係がどうなのかなんて分からないけど、僕は君を他の誰とも比べられない程、特別で大切な存在だと思っているよ」
「…なんだか、恥ずかしいです」
「そう？今まで何度も伝えてきたけど」
「それは…」
初めてじゃない。野坂とこんなやり取りをすることは。病院に居た時も退院する時も、高校に入学してからだって、何度も。
恋愛漫画や映画なんてジャンルに手を出したから？出会った時より年を取ったから？それとも、キスをしたから？
どれも一つの理由で、同時に決定的な理由にはならない。もっと緩やかに、この心情は二人で過ごす月日がすぎる程に変化していった。
「悠馬くん以外の人と関わるようになって…沢山出会いを重ねるほど、悠馬くんの存在がどんどん特別になって…」
一息。Aはスマホを耳に当てるのをやめ、両手で端末をギュッと握りながら息を整えた。丁度野坂の手を取って、俯きながら言葉を紡ぐように。
「きっと私が、悠馬くんが思ってくれてるのと同じ気持ちを、感じているから…」
立場上、誰にも知られてはいけない想い。野坂にさえも、伝えることを避けていた。
彼を追うように、流されるように歩んできた道に、少しだけ自分の意思を乗せて。
どんな顔で聞いているだろう。視線を上げても、そこには白い壁と見慣れた家具が重なって見えるだけ。
「…駄目だなぁ」
「ダメ？」
溜め息のように吐かれた言葉の本意を尋ねる前に、マイク越しに野坂は囁いた。
「この間まで、感情なんて失ったものだったのに。Aさんと居ると胸の辺りの感覚が忙しいよ」
「…それは、良いことですか？」
「うーん…どうかな」
狼狽えるAを見透かしたように悪戯っぽく笑った野坂。心地よい声色は、そっと優しくAの耳を撫でる。
「少なくとも、僕は幸せだよ」
「私も、です」
遠回しでも、嫌みっぽくても良い。彼がそうやって笑ってくれることがAにとっての幸せだった。
他人が想像する関係性が無くとも、それ以上のものが二人を繋いでいる。それを再確認して、Aは彼の名前を呼んだ。
「悠馬くんのことが、大好きです」
続く (更新停止中)
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橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 4時) (
レス) @page43 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - かなりさん» お返事送れてすみません。いつもコメントありがとうございます！(* ´ ▽ ` *)今後も楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月7日 0時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 更新おつかれさまです！もうドキドキして、ついにしたな〜と思いで嬉しい気持ちでいっぱいです！！これからの、展開がどうなってくるか、楽しみです！！これからも体に気をつけて頑張って下さい！ずっと応援しています！！ (2020年6月21日 13時) (レス) id: 49621f134d (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - かなりさん» コメント毎回ありがとうございます！元気に過ごしてますよー、かなりさんも体調に気を付けて！応援に答えられるよう、頑張ります(*^-^) (2020年6月20日 11時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 更新おつかれさまです！最近体調はいかがですか？私は、この小説がずっと大好きで、心が救われる小説です！！このご時世大変な時なので、あまり無理しないで下さい！これも体に気をつけて頑張って下さい！ずっと応援しています！！ (2020年6月18日 15時) (レス) id: f70c6ae0d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：輝 | 作成日時：2020年5月2日 12時
