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Aの心情の変化は明らかだったが、対する野坂はそれまでと変わりなく彼女に接していた。
寧ろ、二人の間には何も無かったとでも言いたげに振る舞っているように見えた。あまりにも厳格に何の変化も現れないのが、逆に不自然にも感じられた。
梅雨の時期はグラウンドの状態が悪いことが多く、室内でのトレーニングが主となる。その場合マネージャーの仕事はそう多くないので、不参加を許されることが殆んどだった。
人の少ない自習室に籠って、考査に向け一学期の復習を進めるAの脳内には時折野坂が顔を出し、柔らかく笑って彼女の集中力を奪おうとする。
こうなると、いつも以上に溜め息が増える。ノートの内容が上手くまとめられないのは、丁度彼女の内心が様々な感情で掻き乱されているのと同じようだった。
彼との今後の関係性に特別な期待は何も無い。今までと同じ様に側に居られれば良い。そう思っているつもりだ。
しかし野坂のあまりに冷静な対応は、フィクションで描かれる筋書きに反している。本当なら、もう少し二人の距離が縮まったことを体感する出来事があったとしてもおかしくない筈なのに。
人が思い描く理想と現実には差があるのだということを思わぬ形で知り、Aは覆らない状況を受け入れ膨れ上がる彼への想いを胸に押し込んだ。
彼に声をかけられれば話をする。彼が手を振れば振り返す。反対に何も接触が無い時は、そのまま一日が終わる。
彼を追わず、拒まず。彼が描く道に抗わず歩んでいる。そうすれば間違うことなど無いし、周囲の目に怯える必要も無い。
それはそうなのだが、やはり引っ掛かるものがある。完全な受け身でいる自身に対して、そして今の現状を飲み込もうとする自身に対して、問いかけたい。
自身の歩む道は自ら描いて良い。そう教えてくれたのは野坂だ。そんな彼を前にまだ人を頼って生きるのか。
冷房で調整された適当な室温と、完全な孤独ではない、人の存在を感じられながらも思考の邪魔を妨げないほどよい静寂。
快適な室内は物思いに耽るには丁度良い。頭痛ももうすっかり引いてしまった。
Aは壁にかかった時計に視線を投げ残り半時間程で部活が終わることを確認すると、スマホを取り出し目当ての連絡先にメッセージを送信する。
緊張から思わず息を止めていた。気を紛らそうと素早く自習に向き直って、ペンを握りながら深呼吸を繰り返す。
自分も成長しなくては。胸に手を当てたまま、彼女はそう意を決した。
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橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 4時) (
レス) @page43 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - かなりさん» お返事送れてすみません。いつもコメントありがとうございます！(* ´ ▽ ` *)今後も楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月7日 0時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 更新おつかれさまです！もうドキドキして、ついにしたな〜と思いで嬉しい気持ちでいっぱいです！！これからの、展開がどうなってくるか、楽しみです！！これからも体に気をつけて頑張って下さい！ずっと応援しています！！ (2020年6月21日 13時) (レス) id: 49621f134d (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - かなりさん» コメント毎回ありがとうございます！元気に過ごしてますよー、かなりさんも体調に気を付けて！応援に答えられるよう、頑張ります(*^-^) (2020年6月20日 11時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 更新おつかれさまです！最近体調はいかがですか？私は、この小説がずっと大好きで、心が救われる小説です！！このご時世大変な時なので、あまり無理しないで下さい！これも体に気をつけて頑張って下さい！ずっと応援しています！！ (2020年6月18日 15時) (レス) id: f70c6ae0d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：輝 | 作成日時：2020年5月2日 12時
