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「こんなところで何をしているんですか」
突然に、そんな声が二人の間を割って入ってきた。
先程まで執拗な程彼女の肌を欲していた彼の掌は簡単に離れることを選択し、彼女との間に一定の距離を生む。
スマホのライトが薄く照らす向こう側、いつの間にかそこに居た影が入り口の扉に映し出されていた。
「野坂…？」
「部室の無許可使用は校則で禁止されています。口酸っぱく言われてきた筈ですよ」
「…何で来たんだよ」
「二人揃って会場を出たら、他の生徒の目を引くに決まっているじゃないですか」
野坂の声は至って普段通りだった。白く照らし出された彼の口元は微笑んでいる。
対して、笑顔を向けられた張本人は苛立ちを表すように乱暴に頭を掻いて野坂を睨んだ。
「それに、そんなに明るい光をライト代わりにしていたら外から丸見えです」
続けて、野坂は先輩の手元で煌々と光るスマホを指差して言う。その眩しさに目を細めるでもなく、淡々と彼が口にすべきと信じる言葉を並べてゆく。
後輩の澄ました視線が気に食わないのか、眉を寄せる自身の先輩のことをじっくりと見つめて、ここに来てから上げ続けていた口角をやっと下げた。
「何をしていたのか、という僕の質問に答える気はありますか」
「…んなの聞くのは野暮じゃねぇか？後夜祭で女子呼び出してんだから、大体察し付くだろ」
野坂の視線が冷めていく。何の感情も映さない瞳は、不意に彼の背後で縮こまるAに向けられた。
視線がぶつかって、Aはどのような顔をすれば良いのか分からず単に見つめ返す。そう間も無く、敵意を含んだ目で改めて自身の先輩を見据えた。
「なんだよ、監督にでもチクんのか？」
「そんな子どもみたいな真似しません。ですが大事になる前に会場に戻ることを勧めます」
「あー、そ…親切にどうも」
暫く沈黙が流れたが、それ以上抗う様子も無く彼は野坂の隣を通り抜ける。その彼の背中が翻って、影になった黒い瞳がAを捕らえた。
「返事、もう良いわ」
乱暴な言い種だった。ボールをぶつけられたような鈍い痛みに襲われた。声はまだ、出なかった。
スマホの明かりと足音が遠ざかっていく。野坂とAの間には半端な距離が空いていたが、構わず野坂は彼女に微笑みかけた。
温かい。こんなにも情けない自分に笑顔を向ける彼を見て、以前かけてくれた言葉の重みを改めて知る。
好き。その感情の力強さが、温もりとなって染みた。
「僕達も戻ろうか」
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橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを待ってます！(*´ω｀*) (2021年11月3日 4時) (
レス) @page43 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - かなりさん» お返事送れてすみません。いつもコメントありがとうございます！(* ´ ▽ ` *)今後も楽しんでいただけると幸いです。 (2020年7月7日 0時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 更新おつかれさまです！もうドキドキして、ついにしたな〜と思いで嬉しい気持ちでいっぱいです！！これからの、展開がどうなってくるか、楽しみです！！これからも体に気をつけて頑張って下さい！ずっと応援しています！！ (2020年6月21日 13時) (レス) id: 49621f134d (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - かなりさん» コメント毎回ありがとうございます！元気に過ごしてますよー、かなりさんも体調に気を付けて！応援に答えられるよう、頑張ります(*^-^) (2020年6月20日 11時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - 更新おつかれさまです！最近体調はいかがですか？私は、この小説がずっと大好きで、心が救われる小説です！！このご時世大変な時なので、あまり無理しないで下さい！これも体に気をつけて頑張って下さい！ずっと応援しています！！ (2020年6月18日 15時) (レス) id: f70c6ae0d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：輝 | 作成日時：2020年5月2日 12時
