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「君の家庭の血筋は公家を先祖とする高貴なものだ。けれど君の父親は一般人と呼ぶのに相応しい、平凡な君の母親と結婚することを選択し、親族とは疎遠になった」
誰が答えてくれるわけでもない。目の前に居る彼女に向けて、野坂はただ調べ上げた情報を語り始めた。
「不運にも、本家からの圧迫で母親は精神的に弱り、君を産んだ後のマタニティーブルーも相まって自分の命を絶った。父親もその責任意識により逃亡、君を英才こどもセンターに預けたのを最後に姿を消した」
それが、野坂と彼女が出会うこととなった発端だった。野坂の記憶に散らばるピースが、少しずつ繋がり始めていた。
「けれど元は名の知れた財閥の家系。調べさえすれば君の父親の行動は全て暴くことができる」
「そうなれば、妻が死に、君を捨てて逃げ、自分だけ安泰な道に戻ったこともやがて明るみに出て、烏丸の名に一生剥がれない泥を塗ることになる」
烏丸は全国的に見ても、財閥や豪商など、ある界隈では未だに有名であるようだった。
「アレスのことはすぐに世間に知れ渡った。彼も同様、英才こどもセンターの正体を知った。そして自身の醜い悪足掻きまでも世間に広まらないよう、いち早く君を引き取ったんだ」
野坂の拳に力が入った。人形のような目が、光を反射してじっと野坂のことを見つめている。
「なのに…こんな扱いか」
彼の財力であれば、都内の最新医療技術を採用した病院に入院させることなど容易いはず。こんな田舎の小さな診療所に娘を閉じ込めてまで、自分の失態を隠したいのか。
「極秘リストにたった一人…君だけが、政府のリストに名前すらなかった人間だ」
口にすればするほど、会ったこともない人間に対しての憎しみと嫌悪感が沸き上がってくる。
「上手くやったよね、君の父親も。お陰で、君をこんなにも長い間救い出せなかった」
「ごめんね」
野坂はそこまで言って、改めて彼女に視線を合わせた。端麗な容姿だからこそ際立つ、無機質な表情が変わらず厚く張り付いていた。
その表情の内に隠れた、彼女の感情。それを掘り出すにはどれくらいの時間を費やすのかどうか、野坂でも分からなかった。
そしてどれ程の時間を必要としたとしても、彼女を取り戻す覚悟は出来ている。
「…さぁ、早速だけど出発しようか」
ラッキーカラー
あずきいろ
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かなり - 私、輝さんの小説が大好きでいつも読み返していて、勇気をもらっています！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています！ (2020年4月26日 20時) (
レス) id: 698341d95b (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - かなりさん» 沢山のコメントありがとうございます！本当に励みになります(*^^*)かなりさんも、どうか体調にお気をつけて過ごしてください。 (2020年4月26日 18時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - この小説は、私を感動させてくれる小説です！この小説を作ってくれてありがとうござます！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています ！ (2020年4月20日 11時) (レス) id: 591368bcea (このIDを非表示/違反報告)
かなり - もお、続きが気になり、この後の展開が気になり過ぎて、ドキドキしながら読んでいます ！(≧∀≦)これからも、体には気をつけて、頑張って下さい！応援しています。！ (2020年4月14日 21時) (レス) id: 591368bcea (このIDを非表示/違反報告)
かなり - コメントありがとうございます。これからも頑張ってください (2020年4月10日 14時) (レス) id: dd5b3632db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：輝 | 作成日時：2019年8月8日 23時
