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僕はすぐに行動を起こし、僕が通う学校が管理する寮に新しい一室を手配することを依頼した。
学校側が二つ返事で了承しなかったのは、利用するのが女性でありながら、僕達と容易にコンタクトが取れるよう男子寮に部屋を設けることを求めたからだ。
しかし風紀面とその他リスクを考慮して僕は向こうの提案を飲み、部屋は女子寮の一階に手配されることとなった。
準備を進める一方で、次に病院を訪れたのは君の定期検診の結果を受け取りに来た週末だった。
いつのまにか、僕が君の親族か何かのように振る舞って、当たり前のように面会や呼び出しに応じることを誰かが不審に受け取ることもなくなっていた。
「もう殆ど身体的不自由は克服しています。懸命なリハビリの成果ですね」
四肢の麻痺は神経の外傷に原因があると言われていたが、手術による回復とリハビリでの筋肉量の増加に伴い、歩くことまでは可能になっていた。
そして君が入院してから半年以上、ようやく退院という一つの通過点が形になり始めた。
「このまま異常が無ければ来月には一時退院できるでしょう。経過観察入院は定期的に行いますが」
残り約三週間、流れるように過ぎていくだろう。君が車椅子の上で虚空を見つめる姿が遠い昔の記憶のようだ。
僕は資料を脇に抱え担当医に頭を下げる。そのまま迷わず足を運ぶのは、やはり君の病室だった。
いつもと同じならば、もうリハビリは終わっている時間。腕時計に視線を投げて、僕を迎えるエレベーターに乗り込むと指先は真っ直ぐ二つ上の階数を選んだ。
習慣化したこの動作が必要無くなる日が近いことをそれとなく思いながら、開いた扉を合図に君の病室へ歩みを進める。
一つ一つの手順は、一連の流れとなって僕を動かす。君の名前が掲げられた白いドアの前、僕はノックしてノブを引いた。
そこに、何故か君は居ない。青空から煌々と室内を照らす日光を、白い床がレフ板のように反射して僕の目を刺す。
それでも僕がベッド脇に立ったのは、君がいつも使うあの机の上に折り畳まれた紙を見つけたから。
よく見なくとも分かる、それは僕が君に渡したノートの1ページ。薄い罫線に君の言葉が並ぶのを毎日のように見ていたから。
僕は先程預かった資料を置く代わりに、その紙をそっと指の腹で摘まんだ。折り目を開くと、それは君からの手紙のようだった。自然と視線の向かう左上の宛名には、
『悠馬くんへ』
"僕の名前"があった。
ラッキーカラー
あずきいろ
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かなり - 私、輝さんの小説が大好きでいつも読み返していて、勇気をもらっています！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています！ (2020年4月26日 20時) (
レス) id: 698341d95b (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - かなりさん» 沢山のコメントありがとうございます！本当に励みになります(*^^*)かなりさんも、どうか体調にお気をつけて過ごしてください。 (2020年4月26日 18時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - この小説は、私を感動させてくれる小説です！この小説を作ってくれてありがとうござます！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています ！ (2020年4月20日 11時) (レス) id: 591368bcea (このIDを非表示/違反報告)
かなり - もお、続きが気になり、この後の展開が気になり過ぎて、ドキドキしながら読んでいます ！(≧∀≦)これからも、体には気をつけて、頑張って下さい！応援しています。！ (2020年4月14日 21時) (レス) id: 591368bcea (このIDを非表示/違反報告)
かなり - コメントありがとうございます。これからも頑張ってください (2020年4月10日 14時) (レス) id: dd5b3632db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：輝 | 作成日時：2019年8月8日 23時
