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珍しく、彼女の表情から感情が読めた。驚いたように何度か瞬きをして、唇を少しだけ震わせる。
何で分かったのかと言いたげな顔に、西蔭は微笑んだ。
「野坂さんは人と比べて感情が表に出にくいですが、ああ見えてここに来るのを楽しみにしているんですよ」
そうは言ったが、特に本人からそういった話を聞いたわけではなかった。しかし、長年隣に居る西蔭には言葉にせずとも伝わるものがある。
例えば、野坂は病院に通うようになってから、今まで以上にグルメ雑誌を読むようになった。実は彼女への差し入れを事前に入念に調べていたりする。
勿論、全て彼女が食べるわけではないので後々西蔭が持ち帰ることになるのだが。
「会うことを楽しみにしているのは、貴方だけではありません」
彼女は真っ直ぐ西蔭を見つめ、それからノートに視線を戻してペン先を動かした。
『のさかさんと、なかよしなんですね』
「…長い付き合いになります」
目を閉じれば、未だに鮮明に浮かぶあの強烈な記憶。初めて西蔭が、野坂悠馬という人間の存在を知った日。
自身の命を賭けてまで、生きる意味を、存在する意味を探していた。そんな野坂の生き方が、あの頃の西蔭の心に深く突き刺さった。
「それでも、野坂さんが何を考えているか見抜くのは難しいですが」
彼女は、もう何も言わなかった。ペンをノートの上に転がし、西蔭の瞳を見つめ返すだけだった。
「貴方を大切に想っていることは、確かだと思います」
彼女にこんなことを言って、傷を負った心に自身の思いが届くか否かなど、西蔭には分からなかった。
それでも、口にしたことに意味がなかった訳じゃない。その証拠に、固く動かなかった彼女の口角が、ふわりと上がった。
絵に描いたように美しい弧を描く口元。儚く、今すぐにでも消えてしまいそうな美しさ。
西蔭の本能が、無意識に自身から送られた信号を受け取った。
彼女を救い出すのが野坂ならば、自分は彼らの守護になる。彼女が、これ以上の苦悶に苦しめられないように。
ラッキーカラー
あずきいろ
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かなり - 私、輝さんの小説が大好きでいつも読み返していて、勇気をもらっています！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています！ (2020年4月26日 20時) (
レス) id: 698341d95b (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - かなりさん» 沢山のコメントありがとうございます！本当に励みになります(*^^*)かなりさんも、どうか体調にお気をつけて過ごしてください。 (2020年4月26日 18時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - この小説は、私を感動させてくれる小説です！この小説を作ってくれてありがとうござます！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています ！ (2020年4月20日 11時) (レス) id: 591368bcea (このIDを非表示/違反報告)
かなり - もお、続きが気になり、この後の展開が気になり過ぎて、ドキドキしながら読んでいます ！(≧∀≦)これからも、体には気をつけて、頑張って下さい！応援しています。！ (2020年4月14日 21時) (レス) id: 591368bcea (このIDを非表示/違反報告)
かなり - コメントありがとうございます。これからも頑張ってください (2020年4月10日 14時) (レス) id: dd5b3632db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：輝 | 作成日時：2019年8月8日 23時
