なんでも無い日に探鉱者が絡まれました。 ページ9
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いやぁ……。夢小説でよく見る展開だけど、やっぱりいい顔してないな。そういうところがノートン君ぽくって好きなんだけど。
ノートン君は数名の女の子に囲まれ、とても不機嫌な顔をしていた。ピンク色のワンピースや茶色の短いスカートをはいた女の子たちだ。自分の格好よりもはるかにお洒落な格好で、ノートン君の隣に居て似合っている。そりゃ、ノートン君の方が格好いいが華やかさが増したような気がする。
事の次第は、私が少しトイレへ行っていた間に起こったようだ。少し目を離しただけでこうなるとは、流石、私の推しだな。
なんて変なことを考えながら様子を見ていると、ノートン君と目が合った。
「あ」
小さくノートン君が口を開けたのが見えた。バレてしまったらしい。
相当虫の居所が悪いらしく、今まで見たこともない表情で睨まれた。口パクで、「た、す、け、て」と言っている。助けたいのは山々だが、私はあんなところへ行こうとは思えない。
困っているのはよく分かるが、彼女たちの所へ行ってもっと困ることになるのは私だ。
無理です、という意味で首を振った。
すると、ノートン君はこちらを今はじめて見たような顔をした。それから作り笑顔を浮かべ、手を振った。ここに居るのは、勿論、私だけ。
「ああ！A、こんなところに居たんだね」
Christmas is coming.じゃ無いんだぞ、変に明るくして近づくんじゃない。解釈違いって叩かれるぞ。
ノートン君はするりと私の元へ近づくと、自然な動作で腰へ手を回した。きゅっ、と抱き寄せるように腕を巻きつけられる。
近い、近い、近い、近い、近い……！殺す気か！
「えー、お兄さん彼女持ちなんですか？ひどっいなぁ」
「酷いって、君たちが勝手に声をかけてきたんだろ。僕はこの子を待ってただけだから」
まだ何か言いたげな女の子たちに対して、ノートン君は軽くあしらっていく。女慣れしてるのか？そんな扱いが許されるのはイケメンだけだよ！？
……イケメンだけど。
「てか、彼女っていうけどお兄さんと吊りあってませんよ？」
「彼女が吊りあってないんじゃなくて、僕が吊りあってないだけだから。じゃ、」
ぱっぱと受け答えするとノートン君は私の腰に腕を回したまま、女の子たちを置いて歩きだした。ちらり、と目線を向けると女の子たちはしぶしぶ去っていった。
ずんずん進んでいくノートン君に声をかけられないでいると、急に立ち止まった。
『ふぇ！』
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