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いやぁ、困ったなぁ……。
まさに嬉しい悲鳴である。
「声聞こえてる？」
不機嫌そのものといった表情で試着したノートン君が言った。
現代の技術というもので隠しているケロイドの存在をもっても、ノートン君は顔が良い。そりゃあもう、私の推しだから。毎日摂取したら過剰摂取で死にそうなくらい顔が良い。死因、ノートン過剰摂取だ。
そんなノートン君が、だ。「ナワーブとかクラークさんって顔が見えずらい服だからいいよね。あ、僕の友人」とか言いながら、フード付きパーカーを手に取ったのが20分前のこと。
「ねぇ」
『はひ！にあってマス、とっても似合ってマス！買いましょう、それ。今すぐ買いましょう！』
そして今、ノートンさんは試着室でフード付きのパーカーを着てみせてくれたところだ。私が、日本の冬は舐めたらダメですよ。もっと暖かそうなものにしましょう。といってモコモコとしたものを選んだのだが……。
モコモコパーカーを羽織る成人男性(元鉱夫)。
正直に言って、鼻血を出さなかった私を褒めて欲しい。公害レベルの可愛さだよ。
「何、変な顔して。シバサンがこれが暖かいって言った」
似合ってないの？と不審げな顔でかがみを確認しだすノートン君の肩に手を置き、あわてて声をかける。
『大丈夫です、似合ってます。とぉーっても似合ってますから、それを買いましょう』
「……シバサンの好きにしたら」
ノートン君がその後、洋服は選んでいいよと言ってくれたので、ここぞとばかりに好き勝手に選ばせてもらった。
「それ、僕の？」
『はい！』
「頭、大丈夫？」
買った服を見せると、ゴキブリでも見たような顔でそう言われた。
何気に、ノートン君の言動が酷いこと気づきだした私だった。
『あ、食料品』
「そう。あと本屋にもよってもららえるかな」
ノートン君の発言に首を傾げながらも、２人で本屋へ向かった。
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