なんでも無い日に探鉱者が挨拶しました。 ページ3
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「……君、だれ？」
思いっきり軽蔑した視線を向けられた。
それはそうだろう。目を覚ましたら箱の中で寝ていて、見たことのない人間が箱の周りをグルグルしていたらそう思うだろう。
『紫波Aっていいます』
私は目の前のノートン君にそう挨拶した。
ノートン君はキョロキョロと周囲を見渡してから、私をもう一度にらんだ。親の仇を見るような……それ以上の、なんと形容してよいのか分からない感情が重く伝わってくる。
足が震えている気がした。
「シバサン……だっけ。取りあえず、ここはドコ？」
『ここは……私の家、です』
私は言葉を選ぶように注意しながら、どうやら状況を理解していない様子のノートン君に説明する。
何度もよんだ公式設定。彼が本当にゲームの「IdentityV」に登場するサバイバー、ノートン・キャンベルならば、情緒はかなり不安定なはずだ。なにが影響して怒鳴られるか分からない。
怒鳴られるのはことさら嫌いだから、避けないと。
『貴方がいたエウリュディケ荘園、ではないのですが……』
「……うん、それは分かった。……あ、僕の名前はノートン・キャンベル。地質探鉱者をやっている」
『私は紫波A。学生、です。学校に通っています』
ノートン君が自己紹介をしたので、自分も自己紹介をし直した。
変な沈黙が場をつつむ。
「シバサン……」
先に口を開いたのはノートン君だった。
自分が眠っていた箱の中にあった綿を見ながら、言葉を続ける。
「僕はここから出ても良いかな」
そう尋ねるさまが、私から見たら完璧な上目遣いだった。
可愛い、リスみたいな目が可愛くて仕方がない。胸がぎゅんぎゅんする。やたらめったらガタイの良い男の上目遣いがこんなに萌えるなんて！
神様、グッジョブ！
私は心の中で親指を立て、気づかれないようにしながら応える。
『はい、どうぞどうぞ……っ！ノートンく…キャンベルさんも寝ていたから体がいたいでしょうし』
ところどころ、つっかえながらそう言うとノートン君は不思議そうな顔を一瞬だけみせた。
「わかった」
そう言いながら立ち上がったノートンさんは、寝ていた時から思っていたが、結構身長があった。こういうのがタッパがあるというのだろうか。
格好良いなぁ。
私は身長が低いし体型のバランスも悪いから憧れてしまう。
「何みてるの？」
『ふぇっ、えあ……なん、なんでもないで、す！』
また変な顔で見られた。
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