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玖話 ページ11

陰火




それは、墓場などで燃える奇怪な青白い炎。



一説では、亡霊や幽霊が出現するときに共に現れる、とも言われている――









――切られた。



ごろん、と自分の首が転がる音がして嫌でも理解する。



目の前に広がるのは食べようとしていた子供の血ではなく紛れもない自分の血。さっきまで繋がっていた胴体は、子供を襲おうとした体制のまま固まっている。



切られた瞬間に発火した青白い炎が余韻を残すようにゆらゆらと揺らめいている、自分の目の前に立つ女を取り囲むように。




(切られた、この女に。



鬼狩りか?いや、そんな気配は一切なかったというのに……)



目の前に立つ女は静かに自分を見下ろしている。


そこには何の表情も、感情も……気配さえ、無い。



その静かさがとてつもなく不気味に感じた。











「お前、金と交換に子供を食っていたのだというのだな。これまでも、そうして子供たちを殺してきたのだろう?



…………何故、このようなことをした」



女、幽門Aは鬼を見下ろしながら静かに問う。



「何って、決まっているだろ!?その方が安全に子供を食えるからだ!


それに、町の奴らだって喜んで子供を差し出していたさ!!



生活の邪魔にしかならない子供と交換に金を貰えるんだ!!子供を奪い取っている訳でもない!!


だから、俺は悪くなんか――」



「もういい」



Aはもう聞きたくないとでも言うように、その端正な顔を歪めた。



「もういい、喋るな。



…………子供だろうが、何だろうが、人の命の価値は皆、同等なんだ。とてつもなく大切で、重い。


それは、お前一人の欲の為に奪われていいものでは無い」




ひとつひとつ確かめるようにAは呟く。小さいが、確かに芯の強い声で。



「は?何言ってるかきこえ――――ギィャァ!!」



再び開かれようとした鬼の口。そうはさせないとでも言うかのように、その口に刀が突き刺された。


真っ赤な血が先程に劣らないほど綺麗に舞う。



「喋るなと、そう言ったはずだ。



……それに、聞こえなくてもいい」



――お前はもう、消えるのだから。



Aのその言葉を最後に、徐々に鬼の首は灰になっていく。



薄れていく視界の中、鬼がみたAの顔は憎しみにまみれながらも、



それでも一瞬、哀しみの表情が見えた、気がした。

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あぶらげ(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます!更新も遅れてしまいすみません (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげ(プロフ) - りっつーさん» ありがとうございます! (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - ナニコレ…好きッッッッッ!!!!、!!!!続きが気になる!!!!!更新頑張ってください!!!!応援しています! (2019年11月24日 18時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
りっつー - ヤバい、好きっす (2019年11月11日 16時) (レス) id: 8fa946d002 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげα(プロフ) - あかさたなさん» ありがとうございます!嬉しいです!! (2019年10月22日 0時) (レス) id: 768a447251 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あぶらげα | 作成日時:2019年9月22日 14時

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