10 ヒヨコと少年 ページ10
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小さなテレビの画面の中、卵から孵ったばかりのヒヨコが親鳥でもない男の子の後ろをついてまわる。
ヒヨコは初めて目に入った生きものを一生追いかけるから。
私とユンギみたいだな、と思った。
「……煙草、吸ってみよ」
ついに退屈が限界に達して、寝転んでいたソファから起きあがって寝室へ向かう。
ベッドのすぐそばには、蓋が微妙に開いた煙草の箱が落ちていた。
箱ごと拾ってキッチンへ向かい、ユンギがいつもそうするように、換気扇のスイッチをいれる。
カタコトと音をたてながら回りはじめる換気扇をよそに、ガスコンロの火で煙草をふかしてみた。
「……まっず」
ゆっくり吸い込んだはずなのに、肺いっぱいに煙が満ちる。
何度も咽せてようやく肺が落ち着いたかと思うと、今度は意識が朦朧として吐き気が襲った。
「……バカじゃないの」
火を消して、ユンギがするように今度はそれを咥えてみる。
だるくてなんだか気持ちが沈んで。
「早く帰ってきてよ……」
ソファに寝転んで天井を見上げると、何故だか涙がこみあげる。
ユンギは私にとって、卵から出て初めて目にした生きものなんだと思った。
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寧桜(プロフ) - アオイさん» 一気読みだなんて！ありがとうございます(´∀｀*) (2020年7月14日 21時) (
レス) id: d17dad552a (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - 凄く素敵な作品でイッキ読みしてしまいました！こんないい作品に出会えて良かったです！ (2020年7月14日 19時) (レス) id: eff5f40333 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寧桜 | 作成日時：2020年6月27日 23時
