08 染まる砂浜と恋人たち ページ8
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「おー、海だ」
YG「ド定番だな」
「人が多くないとこがいいって言ったのユンギでしょ」
海辺の街まで車を走らせると、そこに広がるのは定番中の定番とも言える白い砂浜だった。
「可愛く追いかけっこでもする？」
YG「断固拒否」
「ですよねー」
砂浜に並んで腰掛けて、海を眺めるだけであとはなにもしなかった。
強い日差しの中、こんなところまで一体なにをしに来たんだろうかという沈黙が続く。
YG「……悪かったな」
「なにが？」
YG「出かけようなんて提案しておいてなにもしてないこと」
ユンギが謝るのは珍しいことだった。
私が楽しみにしていたちょっと高いビールを勝手に飲んだときだって、ユンギは結局最後まで謝ってくれなかった。
「レンタカー借りてくれたじゃん」
YG「運転もした」
「うん。運転席のユンギ、ちょっとよかった」
私の言葉に、ユンギは少し顔を逸らすようにして俯いた。
いつのまにか夕日が水平線に近づいていて、世界は少し、オレンジ色で。
ユンギの白い髪の毛も、心なしか淡く黄色に染まって見える。
その白い肌も黒い瞳も、今は全てがぼんやりとあたたかい色に染まっていた。
「でも私たちには、家でごろごろしてる方がお似合いかもね」
もうすぐ沈もうとしている太陽をバックに、恋人たちは慌ただしげにカメラを構えていた。
ふと、自分が言った『私たち』という言葉に違和感を覚える。
友達でも、恋人でもない私とユンギの一体どこを重ねて『たち』だなんて言ったのか。
「……ごめん、なんでもない」
ユンギの機嫌がよかったその1日は、成功とも失敗とも言えないそんな余韻の中、幕を下ろした。
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寧桜(プロフ) - アオイさん» 一気読みだなんて！ありがとうございます(´∀｀*) (2020年7月14日 21時) (
レス) id: d17dad552a (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - 凄く素敵な作品でイッキ読みしてしまいました！こんないい作品に出会えて良かったです！ (2020年7月14日 19時) (レス) id: eff5f40333 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寧桜 | 作成日時：2020年6月27日 23時
