21 小さな紙切れ ページ21
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社会で生きるということは、そう簡単なことじゃない。
この前までは感情が欠落していると言われていた私は、最近情緒不安定だと囁かれている。
「……
小さな紙切れに走り書きされたこの言葉を、いったい何度呟いたことか。
冷蔵庫からとり出した缶ビールを片手に、しわくちゃになった紙切れを握りしめてソファに寝転んだ。
もうすぐ切れそうなLEDの電球は、くもってどこかぼんやりとしている。
「……寝よ」
起き上がり、飲みかけの缶ビールにラップを被せて冷蔵庫に戻す。
ふとカタカタと換気扇のまわる音が聞こえた気がして振り返っても、そこに何かがあるはずもない。
「……頭おかしいんじゃないの、私」
自分で自分を嘲笑ってみても、涙はどうしようもなく頬を伝った。
この前まではそこにあった水色の灰皿が、すごく恋しかった。
この前までは隣にいたユンギが、すごく愛おしかった。
「帰ってきてよ……」
この前までは。
情緒不安定だなんて言われる前までは、そこにいたでしょ？
私の隣で、猫みたいに笑ってたじゃん。
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寧桜(プロフ) - アオイさん» 一気読みだなんて！ありがとうございます(´∀｀*) (2020年7月14日 21時) (
レス) id: d17dad552a (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - 凄く素敵な作品でイッキ読みしてしまいました！こんないい作品に出会えて良かったです！ (2020年7月14日 19時) (レス) id: eff5f40333 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寧桜 | 作成日時：2020年6月27日 23時
