15 ひとりぼっちの匂い ページ15
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「……ねえユンギ」
YG「ん」
「私、てっきりユンギにも家族はいないんだと思ってた」
泣き疲れると眠ってしまう人間は、よくできた生き物だと思う。
起きると少しは気が楽で、その代償に頭はぼんやりと重かった。
YG「……飲む？」
キッチンからひょこりと顔を出したユンギの手に握られているのは、2本のビール瓶で。
ユンギらしいそのお詫びの仕方に、思わずくすりと笑いながら頷いた。
窓際にあぐらをかいて座っていた私の隣に、当然であるかのように腰を下ろすユンギ。
手渡してきた瓶で乾杯すると、私もユンギもそのままラッパ飲みをした。
昇っていく太陽が、ほどよく部屋の中を照らす。
「……私ね、両親いないの」
YG「……」
「私たちが生まれた年に、大きな地震あったでしょ？それに巻き込まれて死んじゃったんだって」
あまりに淡々と話す自分に、誰かほかの人の話をしているような気がした。
自分とはまるで関係のない、地球の裏側にいるような遠い存在の人の話。
ユンギは一言も話さずに、ポケットから出した煙草に火をつけた。
「私、変なんだって」
YG「……」
「家族を知らないから、あるはずの感情が欠けてるって」
YG「……」
「愛されてたらなにか変わったのかな」
頑なに口を開こうとしないユンギに、いつのまにか私ばかりが喋っていた。
5センチにも満たないところに置かれた、煙草を指に挟むユンギの手。
あの夜この手を掴もうと思ったのは、彼から強烈な孤独の匂いがしたからだ。
私と同じ、ひとりぼっちの匂いが。
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寧桜(プロフ) - アオイさん» 一気読みだなんて！ありがとうございます(´∀｀*) (2020年7月14日 21時) (
レス) id: d17dad552a (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - 凄く素敵な作品でイッキ読みしてしまいました！こんないい作品に出会えて良かったです！ (2020年7月14日 19時) (レス) id: eff5f40333 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寧桜 | 作成日時：2020年6月27日 23時
