02 白髪の捨て猫 ページ2
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声のした方に視線を向けると、男の人がシーソーのもう片側に腰かけていた。
「持ってない」
つまりは彼によって、私の体は中空に持ち上げられているわけで。
浮かんだ体をどうすることもできず、煙草を咥えた彼を見つめることしかできなかった。
YG「……チッ」
舌打ちをして、私の方には目もくれず夜空を見上げるその人。
よれた白いTシャツに、擦り切れた黒いジーンズ。
なにより、男の人にしては白すぎるその肌と、傷んだ白い髪が目立っていた。
捨て猫みたいだ、と思った。
「そろそろ帰りたいんだけど……」
煙草を吸えなかった彼は、終始不機嫌そうに空を見ていた。
口元には相変わらず、火のついていない煙草が咥えられている。
恐る恐る話しかけると、ぐるりと首を回したその人と目が合った。
YG「あーおまえ、降りられないのか」
「跳べば？」と彼はバカにしたように笑ったけれど、嫌な気分にはならなかった。
なぜかあまり悪い人には見えなかった。
「ここにいてほしい？」
YG「は？」
「それならここにいる」
彼は捨て猫のように私の瞳に映った。
ひとりぼっちで生きてきた匂いがした。
私よりもずっと孤独な匂いがした。
明日はいつもどおり仕事があるけれど、もう少しそばにいてあげてもいいか、と思った。
独特な雰囲気を放つ彼に、少しだけ興味が沸いたんだと思う。
「私の家、近くなの。だから気が済むまでそこに座ってて」
再度視線を夜空に泳がせながら、斜め下のその人のことを『捨て猫』と呼ぼうとぼんやり決めた。
どうせ今晩だけの付き合いだろうし、私が頭の中で勝手にそう呼ぶだけだからいいだろう。
そう思って、彼を見たとき真っ先に浮かんだ『捨て猫』という言葉で彼を呼ぶことにした。
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寧桜(プロフ) - アオイさん» 一気読みだなんて！ありがとうございます(´∀｀*) (2020年7月14日 21時) (
レス) id: d17dad552a (このIDを非表示/違反報告)
アオイ(プロフ) - 凄く素敵な作品でイッキ読みしてしまいました！こんないい作品に出会えて良かったです！ (2020年7月14日 19時) (レス) id: eff5f40333 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：寧桜 | 作成日時：2020年6月27日 23時
