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「…ヒョン……？」
隣に立つ男の影が、どことなく俺の知っているヒョンに似ていて。
言い知れぬ苛立ちと不安に襲われ、どす黒い感情に支配されていく。
「どうなさいますか？」
「………」
「ジョングク様？」
「…放っておけ」
俺を引き止めたそうなジュンギの横を通り過ぎて、広間に出る。
イ・A。
今のところはあんたの掌の上で転がされていてもいい。
でも、あんたを絶望の底に突き落とすのは俺だ。
そうちょうど、完璧に飼いならしていたと思い込んでいた自分の犬に、両手を食いちぎられるようにね。
わけもなく締めつけられるように苦しい胸元を、ちぎれるほど握りしめた。
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作者名：寧桜 | 作成日時：2018年10月22日 19時
