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太陽がまだ隠れる前、世界がオレンジ色に染まって。
僕の隣を歩くあなたは僕の腕にその細い腕を絡ませた。
一面に咲くたんぽぽが、金色に輝く小さな太陽たちに見える。
かつてのようにその上を飛んだり跳ねたり駆け回ったりはしないけど、嬉しそうに顔を綻ばせるあなたに、無性に嬉しくなって。
「………時が止まればいいのに」
そう呟くと、彼女は急にハッとした表情をして、切なげな瞳で僕を見上げた。
「…もうやめよっか」
「え？」
僕の問いには答えずに、ふわりとした足取りで僕から遠ざかっていく彼女。
きらきらした夕陽がやけに眩しくて、なんとも言えない気持ちになる。
白いレースのワンピースみたいなドレスに身を包んだあなたは、なんだか天使のようで。
掴もうとする僕の指と指の間を、ひらりとすり抜けていきそうだった。
「わかってるでしょ。わたし達のこの関係には、未来なんてない」
「………」
「ジンと結婚することはできないし、堂々と隣を歩けることもない。
こうして、二人で密かに会うことくらいしか、私たちにはできない」
だから、と言葉を続けようとする彼女を、後ろから抱きすくめた。
か細くて、今にも折れそうなこの体。
そんな体で、あなたはいつも、無茶をしようとするから。
「だから…」
震える声でどうしても先を続けたいらしい彼女の後を、僕が代わりに続けよう。
「僕とはもう会わないと、そうおっしゃるのですか」
「ジン、」
あなたは優しすぎるから。
いつも、自分のことは後回しで、自分ばかり傷つけて。
そういうところだけはヨン様に、良くも悪くも似てしまっている。
「お仕置きですか？」
「え？」
「ほら、敬語、使っちゃったから」
「ジン、冗談は、」
「たとえ未来がなくても、切なくなっても、あなたの隣にいるという罰ならいくらでも受けます」
体をよじらせて僕の腕の中から抜け出そうとする彼女を、より一層強く抱きしめた。
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作者名：寧桜 | 作成日時：2018年10月22日 19時
