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もう二週間。
二週間が経ったのに、一向にこの城を出る気配はない。
病気？
そんなの仮病に決まってるでしょ。
薄明かりが照らす室内を歩いてバルコニーに出ると、湿気を含んだ気持ちの悪い風が吹き抜けた。
彼女は俺がキスをした日以来、あからさまに俺を遠ざけている。
だから同じ部屋で眠らずに済むようわざわざ仮病なんかを装ってるのに違いない。
だだっ広いこの部屋に1人残される気分というのはたまったもんじゃないけど、そんな弱味は見せるわけにはいかないから。
眠れず、冴えるばかりの目を見開いて遠く、庭の向こうまでを見渡す。
雲間から覗く光はぼんやりと、それでも闇夜をたしかに照らしていて。
どうして全てがこうも、繋がってしまうのか。
出会ってしまうのか。
「…………っ」
Aを抱きしめるジンヒョンと、その胸に顔を埋めるA。
2人を見つけた俺の胸は、何かに手を突っ込まれてえぐられるように苦しくて。
“あの日”のように。
ただ深い悲しみと絶望に、射し込む月光の中、テラスを背に俺は座り込むしかなかった。
ねえ。
俺は一体、なにを手に入れたらこの心を満たせるの？
凍りついたはずの心が、どうしてこんなにも痛むのか、俺にはわからない。
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作者名：寧桜 | 作成日時：2018年10月22日 19時
