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「……うっ」
「あぁおはよ、ジン」
「いった…」
目が覚めるとそこはボゴムの屋敷のボゴムの部屋で。
さらに言えばベッド脇の堅い床の上だった。
「いや、二回はちゃんとベッドに運び直したんだけどさあ。おまえ何度でも落ちるんだもん流石に疲れた」
昨日のよれた服のまま地べたに座り込む僕とは反対に、きちんと服装を正して髪まで撫でつけ終わったボゴムが申し訳なさそうに僕を見下ろす。
痛む腰をさすりながらなんとか立ち上がると、そういえば、とボゴムがベッド脇の机に置いてあった封筒を僕に手渡した。
「最近ちゃんと家に帰ってないことバレてんのかね。ついでにここにいることも」
「はは」
王室が差出人になっているその封筒には、大きく “通達” の文字がある。
警護の配置の異動でもあったんだろうか。
びりびりとその封を切って中身を確かめると、案の定、 “配置異動” の文字が一番上に記されている。
「なんだった？」
「配置異動」
「あーまあそんなとこだろうとは思ったけど」
「うん」
「もう一緒に門の護衛はできないのかあ。寂しいねえ」
「…………っ、」
「で、どこに異動なわけ？」
「……………」
ジン？と顔を覗き込まれ、ぴくりともしない僕を不思議に思ったのか、力の入らない手で握られた通達をボゴムはひょいとつまみあげて目を通した。
呆然とする僕に続いて、呆然とするボゴム。
「……………女王陛下の寝室前って…」
この通達は偶然なのか必然なのか。
神様はどうしても僕に、彼女を忘れさせてはくれないみたいだ。
嘘だろ、と呟くボゴムに、本当みたいだよ、と薄く笑うしかなかった。
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作者名：寧桜 | 作成日時：2018年10月22日 19時
