今日:34 hit、昨日:4 hit、合計:28,343 hit
小｜中｜大
＊ ページ27
・
困惑に満ちた表情で俺を見つめる彼女の手が、俺の頬に伸びる。
頬に触れる寸前、突き刺さる視線から逃れるように、彼女の折れそうに弱々しい手首を思い切り掴んで引いた。
あんなに大勢いた人は、誰一人として追いかけてこなくて。
「…グク……」
「……っ」
俺を呼び止める小さなその声に、思わず足を止めてしまう。
「どうして、……
泣いてるの？」
ひたりと背中に寄せられた手のぬくもりに、あの頃のあなたを思い出す。
ねえ。
俺は殺したいほど憎いのに。
なんで？
「…ごめんね」
なんでそんなに切なそうな顔で俺を見つめるの？
謝るの？
もう遅い。
遅すぎるのに。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：寧桜 | 作成日時：2018年10月22日 19時
