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薄く微笑みを口元にたたえて階段を降りようとする彼女の視線の先にあるのは、
ジンヒョン。
その瞬間、俺の中で何かがぷつりと音を立てて切れた。
湧き出すこの感情は、怒りなのか、悲しみなのか、憎しみなのか。
わけがわからないまま、ジョングク様、と俺を呼び止めるジュンギの声も無視して、影の中で笑っていた俺を葬る。
「…A」
細い腕にきりきりと力を込めて指を絡ませると、驚きと恐怖に包まれたその瑠璃色にも光る瞳が俺を捉えた。
あんたの瞳も、輝くシャンデリアも、人々の歓声も、色とりどりの仮面も。
俺には眩しすぎる。
「……ジョングク______________っ」
抑えられない気持ちに理性を失った俺は、
俺から逃れようとする彼女の腰を引き寄せ、その唇を奪った。
「んんっ…はぁ」
嫌がる彼女をこじ開けて、無理矢理舌をねじ込む。
それでも生理的に感じるものは仕方がないのか、抵抗をしつつも、彼女は時々甘い声を漏らした。
その声に大きくなるこの気持ちはなんなのか。
この女の全てを奪いたい。
この女の全てを支配したい。
ねえジンヒョン、見てる？
「や…やぁ…んっ」
ヒョンがずっと愛してきた女は、今自分の目の前で他の男にキスされてるんだよ。
もう諦めなよ。
自分のためにもさ。
逃げ回る彼女の舌に自分のを絡めながら、視線を逸らして階段の下のヒョンに目をやると、彼は大きく目を見開いて、茫然と立ち尽くしている。
いい気味。
そんなことを思う俺は、性格が相当ねじ曲がってる。
でもさ、それもこれも全部、あんたのせいだもんね？
彼女の仮面の下から透明な涙が伝って。
その涙を否定するように、ジンヒョンに見せたくないとでもいうように白い頬ごと両手で包み込むと、その拍子に彼女の白い蝶の仮面が剥がれる。
「______________っ、」
広間は静まり返り、からん、と地面に落ちる音が響き渡った。
「…グク______________？」
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作者名：寧桜 | 作成日時：2018年10月22日 19時
