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流石に昨日の今日で同じ過ちを犯すような女じゃない。
『そういえばあの男、明日も階段で待っている、と最後に呟いて行きました。
陛下の耳に届いているかはわかりませんが』
昨日、ジュンギの部屋を去るとき、そんなことを言われた。
そんなに気にするようなことでもないし、そもそも彼女が知っているかどうかすら怪しいのだから、放っておけばいいことなんだけど。
別に舞踏会が終わるまでの間、特別会って話したい人もいないし、することもないから。
「ジョングク様、いつまでこのようなことを」
「…いつまでも、って言ったら？」
真紅のカーテンに身を隠して、往来の激しい大階段を密かに見守る。
騒がしい人々の笑い声から離れて二人、ここで話すのは意外にも心地が良くて。
「ははっ、冗談だよ」
微妙な顔をしたジュンギの肩を小突けば、これまた微妙に笑った。
ジュンギはそういう男だ。
「…陛下をもし見つけたら、どうなさいますか」
ジュンギの反応に笑いを堪えられない俺を横目に、ジュンギはカーテンの向こうを見ながらぼそりと呟いた。
「どうするだろ…俺にもわかんない。殺しちゃったりするかもね」
言ってる俺にすら冗談なのか本気なのかわからないことを言うと、ジュンギはそうですか、とカーテンから目を逸らした。
…また微妙な顔して笑うと思ったのに。
そこまで考えてようやくピンと来た俺がカーテンの向こうを振り返ると、一瞬ぎょっとした表情のジュンギの顔を視界の隅に認識しながら、見つけてしまった。
今宵も白いドレスに身を包んだ、女神のような彼女を。
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作者名：寧桜 | 作成日時：2018年10月22日 19時
