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「ジョングク。今日、A…陛下は、白いドレスを着てらっしゃったよね？」
ふいに、ヒョンが彼女の名前を出した。
予想だにしない、いや、少し身構えていたのかもしれないその話題に、自然と背筋が冷たくなる。
「彼女は今日、黒いドレスでしたよ」
言ってしまった後で胸がちくりと痛んだ。
彼女は今日間違いなく白いドレスを着てましたよ。
そう、あなたと話していたのは間違いなく彼女だ。
「でも、たしかに彼女、菫色の瞳をしていて_______」
「それが、どうしたんですか」
「…え？」
「ヒョンと話していたというその人が仮にも彼女だとして、どうするつもりですか？」
「それは、」
「彼女はもう、俺の妃です」
「………っ、」
「これ以上俺から何を奪えば気が済みますか？」
傷ついた顔をしたヒョンが目に入って、自分が言ってしまったことの重さに気がつく。
黒い感情に支配されると、俺はもう歯止めがかからない。
思ってもないことや言うはずのなかったことまで口をついて出てくる自分に、本当に嫌気がさす。
もとよりどうしてこんなにも自分がイライラしているのかも、わかっていないわけで。
「…すみません。それじゃ、また」
茫然と立ち尽くすヒョンを後にした。
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作者名：寧桜 | 作成日時：2018年10月22日 19時
