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ユンギから連絡があって病院へ向かった。
キムは自室のベッドの上で、じっと窓の外を見つめていた。
私は……私は。
「キム……」
名前を呼ぶと、キムはゆっくりと首をまわして私を捉えた。
憔悴しきったその顔に、私が言える言葉なんて何もなかった。
TH「あはは……俺、ひとりになっちゃったよ。せんせ」
無理に笑おうとするその目から涙がこぼれる。
見ていられなかった。
TH「……っ」
笑わなくていいとか、思いっきり泣けばいいとか、そんなことを私が言うのはお門違いな気がして。
何もかも失ってしまった彼に、身勝手すぎる私が出来ることは痩せ細ったその体を抱きしめることだけだった。
「……っ」
抱きしめた体から、痛いほどの悲しみが流れ込んでくる。
独りになった不安に押しつぶされそうなキムの気持ちが、私の中に溶け込んでくる。
涙が彼の肩にこぼれ落ちた。
TH「うっ……ううっ……」
震えるキムの温もりに、すこし安心する。
まだ私の前で泣いてくれることがありがたかった。
私は……一番そばにいなければならないとき、彼を独りにさせてしまった。
わかりあえないことを理由に、遠ざけてしまった。
ごめんなさい。
独りじゃないと、私が伝えなければならなかったのに。
今さら何を言ってももう遅い。
「……っ」
だけど、もう離れないよ。
たとえ言葉では何も言えなくても、あなたを独りぼっちになんて絶対させない。
たとえあなたが生きることを諦めていたって、独りで死なせたりは絶対にしない。
あなたのお母さんと、約束したもの。
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作者名：寧桜 | 作成日時：2022年4月29日 14時
