泡沫 ２

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2021年夏。

ようやく決まった3回目の有観客コンサート。

そして24時間テレビのメインキャスター。



俺たちにとって大きな飛躍の年になった。



「ね〜、岸くん弱すぎなんだけど！」
「うわ、マジか！！ もういっかいやらせてくれっ！！」
「それ何回目だよ！！(笑)」



今から打ち合わせやねんけど、海人とジンと岸さんがゲームで遊んでるところ。

俺は台本覚えなあかんかったから、ちょっと離れたソファーで読み込んでた。



あとは紫耀そろったら始めるねんけど…

時計の長針はとっくに12を過ぎて２に差し掛かろうとしており、予定時間よりも10分ほど遅れている。



みんなゲームで楽しんでるけど、1分に1回は誰かしら扉の方を見てるからおもろい。



今、俺らの中で一番多忙な紫耀。

今日も別仕事で遅れるかも、とは言ってたから、心配はしてないねんけど…やっぱ気になるらしい。(笑)


正直、個人の仕事が増えてきて、5人のタイムスケジュールを合わせるのは難しくなってきてるから、誰かが遅刻するのはよくあることだった。




長針が４を過ぎたころ。



「っ、ごめん！！ お待たせ、遅くなった！」

相変わらずキャップを後ろ向きにかぶり、サングラス着用した紫耀が現れた。



「しょお！ お疲れ！」
「ぜんぜん待ってないよ、岸くんが弱すぎたから！」
「お疲れ…ってどういうことだよ！！！」



相変わらずわちゃわちゃしている3人が紫耀に気を使わせないよう盛り上げる。


「ふふ、なんだよそれ」


紫耀もそれに応えるように、笑いながら、しかし手早く荷物を置いて、席に着く。


「さぁ、はじめようか！」


ジンの一言で結局25分遅れの打ち合わせが始まった。






30分を過ぎたころ、いつも積極的に意見を出してくれる紫耀が静かやな、と紫耀の方を見るとなんやら顔がやけに青白かった。


忙しくなるといつもやせていく紫耀だから、今回も少し頬がこけだしているのもあって、かなり体調が悪そうだった。



「…しょお、大丈夫か？」



気になりだしたら気になってしまう性分なのもあり、さりげなく聞いてみる。



すると、はっと目を見開いて、


「あ、うん、ごめん、大丈夫。…ごめん、なんの話だっけ？」


と会話に戻っていった。




いやいやいや、めっちゃ挙動不審やったんやけど。


こいつ嘘つかれへんし。てか嘘ついてもすぐわかるし。


現に紫耀の左手は時節お腹を擦っていた。




…腹痛いんか。




　

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