染谷探偵事務所の日常 ページ7
「気持ちは少しだけわかります」
まだ年端もいかない子供だった愛蔵は、小さい頃の家が苦痛で仕方がなたった
父と母は、お互いが肯定出来ない歪んだ関係だった為に。毎日言い合いをして、その醜い感情を吐き散らしていた
怖い、止めて、喧嘩しないで、また、また皆で一緒に
そんな感情を捨て去ってしまうのは案外遅くはなくて、愛蔵は成長につれ荒れ果てていった
溜まってしまった胸の中の膿を除去する方法が幼い愛蔵には分からなくて、何が原因だったか、そんなこと考えているうちに女というものに嫌悪感を抱き始めた
そんな愛蔵を拾ったのが勇次郎だったのだが
すっかり丸くなった愛蔵も女に大して多少は仕事の一環として接することができるようになった
そもそも根っから悪い性分ではないし、自由奔放な兄を持つと変なところで几帳面さが見え隠れしてくるのだ
「でも原因を探したって何も俺は分からないままだったし、結局過去のことだったって割り切るしかなかったです。それが相手に過失がある場合は、自分はお金という形で空いた穴を塞ぐんです」
「……」
「貴女は、どういった形だったら、その穴。埋まりますか？」
愛蔵は硬いフローリングを走ったせいで赤くなってしまった足に跪いてピンヒールを履かせた
一方Aの胸はトクン、と高鳴っていた
先程まで私以外の女を愛して浮気をしていた彼が頭から離れなかったのに、今はこの人しか瞳に入らない、入れたくない
血液が登る感覚が嫌に敏感に感じてふるり、と身震いをする
愛蔵の絹のような金髪も、力強さを秘めた瞳も、世界が変わったかのように輝きを放ち始めた
こんな感情は、初めてだった
「し、柴崎……その……」
「はい」
「あ、……や…あ、ありが……とう」
「ああ、はい」
愛蔵が少し微笑むだけで顔が熱を帯び始めていった
どうしよう。どうしよう。このままじゃ私、死んでしまう！
そんな杞憂すぎる危険を感じとったAはバッ、と愛蔵から目を離す
あ、と思った時には愛蔵は自分から離れていて、すみません。と頭を軽く下げるその様が苦く感じた
口の中にビターチョコレートでも広がったような、そんな
その場を離れようとする愛蔵をAは腕を広げて止める
「えっ？」
「し、し、柴崎！そ、その……」
しまった、止めたが、どうしよう
処理の追いつかない口から咄嗟に出た言葉はA自身が1番驚くものだった
「わ、私も！一緒に手伝わせて！！柴崎の仕事！」
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메이 - 全部読みました.ᐟ とっても面白かったです.ᐟ これからも頑張ってくださいね𓂂𓏸 (2022年12月9日 15時) (
レス) @page49 id: 36c85dd659 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - じゃすみんちゃさん» ひえ！全部！ありがとうございます嬉しいです(TT)更新頑張ります応援嬉しいです！！ (2022年1月23日 2時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
じゃすみんちゃ(プロフ) - 123全て楽しく読ませていただきました！最高です！次の更新も楽しみにしてます！頑張ってください！ (2021年11月3日 16時) (レス) @page48 id: 97e0b8497b (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - 翔花さん» 全部読んでくださったのですか！？ありがとうございます！！コメントも頂けて作者は幸せです！ (2021年8月12日 18時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - 名前さん» 神......なんどありがたいお言葉……わたしよりもあなた様が神です……ありがたや… (2021年8月12日 17時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソーダ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年8月30日 2時
