染谷探偵事務所の日常 ページ3
｢潜入任務ぅ？｣
｢そうだ｣
何処ぞの首脳会談だろうか
と声を漏らしてしまう典型的な会議での独特な姿勢
瓶底のような大きな丸眼鏡に囚われたその青い瞳は億劫そうに書類に目を滑らせていた
先程の呆けたカラスのような声を出したのは愛蔵、柴崎愛蔵である
先程上司である勇次郎から潜入調査の一言を聞き、盛大に首を傾げていた
そう、ここは探偵事務所なのである
染谷探偵事務所＿＿＿＿＿知る人ぞ知るやり手の探偵事務所である
町外れの閑静な住宅街に位置するその事務所はヘンゼルとグレーテルのお菓子の家を彷彿とさせるような造りをしており、内装もレトロでモデルルームのようなこだわりが溢れていた
が、それに似合わず2人がくたびれたハードワーカーなのは圧倒的社員の少数派が一因である
何せ仕事量は大手に匹敵しないにしても癖の強い勇次郎のせいで尽く社員たちが辞めてしまうので、残ったのは荒くれ者の愛蔵を拾った恩義が勇次郎にある愛蔵ただ1人だった
その話はまた別の機会に＿＿＿
｢.......つまり、浮気の調査ってことですか｣
｢そ、長年付き合ってきた彼氏が浮気してるかもしれないから洗いざらい調べて欲しいって｣
ばさ、と乾いた音を立てて書類が机に落ちる
それを拾い、目を通すと愛蔵は慌てた瞳をする
｢はいこれ、スーツね｣
｢.......スーツ.....ですか？｣
｢言ったでしょ潜入調査だって｣
その言葉を聞いて静かに1人で理解した愛蔵
どうやらこの依頼者の彼氏は企業勤めな事もあってか疑り深い性格らしい
浮気を悟られないよう慎重に浮気をするものだから依頼者は後に語る＿＿骨が折れた。と
こちらとしてはその慎重な性格が厄介を呼んでいるのだが特定してしまう依頼者も依頼者で恐ろしい
｢俺、潜入調査なんて初めてなんですけど.......｣
｢帰りに買ってきてね。ケーキ。あと今日オムライスが良い｣
｢.......はいはい分かりましたよ｣
母か。いや、違うがもはや母のようなものだ
勇次郎の生活力のなさは折り紙付きである
そこに愛蔵のほっとけない性分がぴったりとあてはまったのだ
着慣れないスーツを整え、車に乗り込むと仕事増設機の上司から押し付けられたリュックを助手席に乗せる
｢潜入調査っつっても......何すりゃあいいんだよ.......あんのクソ上司.......！｣
ああもう！と頭をガシガシと崩す愛蔵は半ば乱暴にエンジンをまわした
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메이 - 全部読みました.ᐟ とっても面白かったです.ᐟ これからも頑張ってくださいね𓂂𓏸 (2022年12月9日 15時) (
レス) @page49 id: 36c85dd659 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - じゃすみんちゃさん» ひえ！全部！ありがとうございます嬉しいです(TT)更新頑張ります応援嬉しいです！！ (2022年1月23日 2時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
じゃすみんちゃ(プロフ) - 123全て楽しく読ませていただきました！最高です！次の更新も楽しみにしてます！頑張ってください！ (2021年11月3日 16時) (レス) @page48 id: 97e0b8497b (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - 翔花さん» 全部読んでくださったのですか！？ありがとうございます！！コメントも頂けて作者は幸せです！ (2021年8月12日 18時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - 名前さん» 神......なんどありがたいお言葉……わたしよりもあなた様が神です……ありがたや… (2021年8月12日 17時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソーダ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年8月30日 2時
