おいで、恋愛しようか『LIP×LIP短編集』

ロメオ ページ12

貴「ん.......？」








薄く目を開くと辺りは明るくなっていた




貴「勇次郎......？」







どこを見回しても彼の姿は見当たらない









朝までだもんね.........







布団の中に残っている温もりをギュッ、と抱き締める









次に会えるのは一年後くらいかな....









貴「.............あれ」






布団の上にパタパタと滴が落ちた





一滴じゃなくて。たくさん、たくさん









これ..........涙？.......私の.....？









貴「.......っ...」









ああ、そっか







私..........









貴「勇次郎..........」






勇次郎が、頭から離れない









寂しいこと見透かしてくれて




そばにいてくれて









貴「..........行かなくちゃ」









ベッドから降りると門の方からガヤガヤと話し声が聞こえた






弾かれるようにベランダに出て身を乗り出すと





そこには昨日パーティーに出席した一部の人たちが馬車を待っていた








昨日からここに泊まっていった人たちだろう









今度は庭の見える反対側の窓に張り付いた








貴「....あっ！」








いた







勇次郎




そのまま無我夢中で走った






使用人たちの制止の声も全く聞こえず裸足で庭へ飛び出した









貴「勇次郎っ.......！」





気付いたら、お腹から叫んでいて。相当な声量が出ていた





彼は此方に気付いてくれてゆっくりふりかえる









腕が勝手に動いた、とはこの事だろう






勇次郎に腕を回した







勇「........！？！？」

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