おいで、恋愛しようか『LIP×LIP短編集』

ここにいて。『勇次郎』 ページ14

更新が遅くなり申し訳ありません...！

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ジャラ....








動く度に音をたてる鎖




もう聞きなれた嫌な嫌な音









「.........グスッ...」






静かで、真っ暗な冷たい部屋




彼は私が暗所恐怖症なのを知った上でわざと私をここに閉じ込めている




中学生のとき一人で閉じ込められて以来。夜も駄目な体になってしまったのだ









「......怖い....」





全身が震えて涙が止まらなくて




されているのは足枷だけだけど、窓もないこの部屋から抜け出すのは無理だ



第一恐怖で足が動かない









こんなのが毎日毎日続いている







でも恐怖症って不思議なもので






傍にいてくれるなら犯罪者だって求めてしまう









「っ........ゆうじろ.....？」




暗い部屋に一筋の光



彼がやってきた合図








部屋の外からの光に照らされた彼は口を三日月型にして微笑む






「.......ただいまA、いい子にしてた？」





彼が私を閉じ込めた人。染谷勇次郎




幼稚園からの幼馴染みだった彼と付き合って一ヶ月後。突然、息をするように拉致された






何故なのかはまだ分からない




静かにこちらへ足を運ばせて目の前にしゃがみこむ彼に、すがりつくように抱きつく




彼はそんな私を優しく撫でて、深いキスを落とす





「っ.....ん......」






この瞬間だけ、涙が止まる







私を閉じ込めたのも、こんな目に合わせているのも彼なのに









こんなの滑稽？






でも今は






「........大丈夫だよA、僕がいてあげるからね」









この言葉に安心するしかない









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やっぱ、Aを恐怖症にさせて正解だったな







自分にすがりついて泣く彼女を撫でながらほくそ笑む






暗いところに閉じ込めて、時々会いにいってあげれば。ほら簡単








これでAは僕無しじゃ生きられないだろ



彼女にちゅ、と軽くキスを落とした









「.......大好きだよ、A」

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