そのゆくロマンス部ｰ2ｰ

未成年〜酒桜さんの場合〜 ページ41

酒桜side

幼馴染の家に遊びに行く
というのを口実に泉に会いに行った

｢今日お兄ちゃんいないの？｣
｢そうなんだよね、バイトでさ…健兄知らなかったの？｣
｢あ、うっかりしてたわ〜帰ってくるまで待ってていい？｣
｢いいよ、どうぞー｣

今回はスムーズに家に入ることが出来た

最初は好きって気持ちが前のめりになって
オドオドという言葉が自分にあると思えるくらい
気持ち悪かったような気がした

｢お酒ない？｣
｢真昼間から飲むつもり？｣
｢仕事ないんだからいいじゃなーい｣

自分より年下のはずなのに
なんでこんなしっかりしてるんだろう

本当に高二か？
高二のガキに恋してる自分がアホすぎるのか…？

｢ビールでいい？｣

コトッという音を立ててテーブルに置かれる缶

｢これ俺の好きなメーカー｣
｢ビールなんてどのメーカーも一緒じゃないの？｣
｢全然違うよ、まあお子ちゃまにはわかんないだろうけど｣
｢もう17だっつーの！｣

泉は反応がいちいち面白い
だからクラスでもいじられキャラなんだ

｢はぁ…私もお酒飲んでみたいよ…｣
｢そんな物欲しそうに見てもあげないからね？｣
｢えぇー｣
｢あんた未成年でしょ！｣
｢もう17だからいいと思う！｣
｢その年でビール飲んでも苦いって思うだけだよ｣

そんな子犬みたいな目をしないで欲しい
お兄ちゃんの幼馴染だからって油断しすぎじゃないか

俺が男だと思われていないのだろうか
泉のお兄ちゃんより身長高くて体格いいのに
性格が優しすぎるからか

｢泉が大人になるまでに、酒が美味しいお店を探しとくよ｣
｢それってBARに連れてってくれるってこと！？｣
｢まあ…そういうこと｣

両手をグーにして高らかに上げる
やったー！という喜びの声付きで

｢早く年取って未成年卒業しないと！｣
｢そしたら俺は23くらいか…おっさんだな｣
｢何言ってんの、お兄さんでしょ｣
｢お兄さんって呼んでくれるかぁ｣
｢元から呼んでるじゃん、健兄って｣

小さい頃から仲良くしてるから
俺も兄同然なのだろう

そんな人間に恋愛感情なんて抱くわけもないな

｢健兄は彼女いないよね？｣
｢いないよ？｣
｢OK、わかった｣
｢何が！？｣
｢秘密〜｣

泉が未成年じゃなくなるまで
どう足掻いても付き合うことは出来ない

けど20歳になったら
俺のことを男として見てくれる機会が
増えるって信じてるんだ

そうすることしか今は出来ない

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