そのゆくロマンス部ｰ2ｰ

雨の日〜酒桜さんの場合〜 ページ18

酒桜side

雨が窓に打ち付けられてて
しきりに音が聞こえる

あの分厚い雲の奥では太陽が登っているんだろうけど
その光は全くここには届いてない

陽の光を浴びて気持ちいい朝を迎えようと思ってたのに

なんて考えながら洗面所に向かった

｢髪、どう？｣
｢全然ダメ｣

30分ほど鏡の前で髪と格闘してる泉

泉の髪は天パで可愛いんだけど
雨の日になると湿気で広がってしまう

｢もう三つ編みでいいか…｣

不貞腐れたように三つ編みを始める

いつも髪の事で悩んで
結局三つ編みにする

だったら最初から三つ編みにすればいいのに
と思うけど泉なりのこだわりがあるのだろう

三つ編みが終わった泉はソファに座り髪をいじってた

｢男の人はいいよね、湿気なんてきにならないでしょ？｣
｢なるよ、俺がずぼらなんだよ｣
｢寝癖ついてるもんね｣

髪を触ってみると一束だけぴょんっと跳ねていた

｢うわ、やべ｣

洗面所で水を付けてみるけど意味はない

泉に言っといてなんだけど
俺も相当なくせっ毛だ

｢いいんだよ、それ可愛いから｣
｢可愛いか？｣

寝癖を抑えながら泉を見た

｢私、天パだけどいつもちゃんと巻いてるんだよ｣
｢全然気づかなかった｣

こういう男が女からダメって言われるんだ
女の変化ぐらい気づけって

｢まあでも、普通の天パも見てみたいよ｣
｢ボサボサだって言われるもん｣

たしかに…高校の時俺もよく言われてた
ワックス付けたりしてなんとか乗り切っていた

｢一度でいいからさ｣
｢じゃあ明日晴れたらね｣
｢てるてる坊主作ろ｣

ティッシュを丸めててるてる坊主を作った

｢何その顔｣
｢まろ眉メガネ女の子｣
｢性癖丸出しじゃん｣

どんな髪型でも俺の隣で笑ってくれるだけで
幸せなんだよなぁ

この幸せを逃がしたくない
心からそう思った

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