そのゆっくり、こいをする。5

空返事 ページ32

久々に優哉と帰った気がする

そう言えば最近は鈴々ちゃんの仕事に付きっきりで
一緒に帰る相手は鈴々ちゃんだった

一緒に帰ってても話題が尽きなくて
そのまま呑みに行ったりしてたから
優哉と話す時間をまともに取れてなかったように思う

だからこそ今という時間を大切にして
色々話したい…と思っていたのだけれど

私が一方的に話してるだけで
優哉は何を聞いても空返事なんだ

｢ねぇ、聞いてる？｣
｢…あぁ、うん、聞いてる｣

本当に聞いていたのか疑わしい

｢何かあったの？｣
｢え、いやぁ…ちょっと仕事のことでな…｣
｢話聞くよ？｣
｢大したことじゃないから、気にせんでええよ｣

大したことじゃない
そんな言われたら深入り出来ない

私じゃ力不足なのか…

｢泉は？｣
｢なにが？｣
｢ここ最近のこと聞きたい｣

優哉は話さないくせに…

マイナスな言葉が浮かんでしまった
首を振ってその考えを頭から抹消する

｢えっとね…充実してる。後輩もできて、忙しくなってさ、疲れるけど楽しい｣
｢そうか…良かったな｣

そう言って笑った優哉は
どこか不安そうで、自分まで辛い気持ちになった

優哉は今、何を考えているんだろう

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