そのゆっくり、こいをする。5

人生初ピアス ページ27

唯月ちゃんと別れて
カズくん家に向かう

｢心の準備は大丈夫？｣
｢めちゃくちゃ怖い｣

テーブルに置いてあるピアッサーと
ビーズ型のピアスに目を向ける

ピアスを開けるというのは
結局、耳に傷を作るのと一緒なわけで…

そう思うと背筋が凍る

｢今日出来そう？｣
｢今日しなきゃ…私の周りでピアス開けてるのカズくんぐらいしかいないし…｣

でもめちゃくちゃ怖い…
自分の中で葛藤に葛藤を続ける

｢少しリラックスしよっか！VRしよう？｣

カズくんがVRを取り出して始めたコンテンツは…

｢なんでIT！？リラックス出来ないじゃん｣
｢まあまあ、とりあえずこれ付けて｣

VRゴーグルを付けてコンテンツを開始する
予想通りビビり散らして終わった
画面を見てたカズくんの方が驚いてたが…

｢ピアス開けるのはこれよりも怖くないでしょ？｣
｢まあ…言われてみればそうだね…｣

大人しく座って目を瞑った
カチンッという音と耳に痛みが走る

｢目、開けていいよ｣

恐る恐る目を開ける
目を強く瞑ってたせいで涙が溜まってた

｢こんな感じにできたよ｣

カズくんに渡された鏡を覗く

｢いい感じ？｣
｢いい感じだと思うよ｣
｢ありがとう｣

耳を触ろうとしてカズくんに止められる

｢1ヶ月くらいそのままで…汁とか出てくるだろうけど気にしなくていいからね？酷いようだったらまた連絡して｣
｢うん、分かった｣

人生初ピアスはドキドキした
だけどこれからお洒落のポイントがひとつ増えると思うと心が踊った

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