幸せな勝利 (ページ1)

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幸せな勝利 1 ページ1

髙木side

俺が帰宅したのは日付が変わった頃だった。

髙「ただいまー……」

……返事が帰ってこない。珍しいな。

いつもなら伊野尾くん起きてるはずなのに。

わざわざ玄関まで来て「んぁ、たかぎおかえりぃ」って眠そうに微笑んでくれるはずなのに。

まあ、こんな日もあるか……と割り切って、起こさないようにそっと行動する。

いざ寝ようとベッドに行くと、伊野尾くんはやはり既に寝ていた。

……ただ、その寝息が一定ではなかった。

伊「んー……ゆ、やぁ」

俺とやる時でさえ、1回も下の名前で呼んでくれたことなんてないのに。

こんなひどく甘い声で、夢の中の俺は名前を呼ばれている。

流石に、ね。

髙「慧、起きて」

伊「……たか、ぎ？」

髙「たかき、な」

実際、今はそんなことどうでもよかった。

髙「慧、やるよ」

伊「今、から……？」

慧呼びにまだ全然慣れなくて、恥ずかしさがこみ上げてくる。

でも、伊野尾くんから、名前で呼ばれたくて。