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それから意味も無くダラダラと生き永らえて3年、がんが転移していたらしい。両親の強い希望の元、私はまた大きな手術を受けることとなった。
手術は成功したが、如何せん金銭的な問題がある。要は金が足りなかったのだ。
両親はそれを私に必死に隠していたようだが、自分の病気の事だ。気になって色々と調べていたので、手術に必要な大体の金額は既に知っていた。
昔は優がいなかったから共働きが出来たが、今は違う。体への負担も以前の倍は感じているはずだ。
それに私には将来の見通しが無いが、優は違う。
3歳にもなった優は、大きな病気にかかることなくすくすくと元気に育っていた。
あと3年もすれば小学生。ある程度は目が離せる年齢だ。
だがそれでもやはりお金はかかる。父親だけの稼ぎでは、到底間に合うことが出来ないだろう。
しかし母は頑なに優を保育園へ預けなかった。
__私に毎日会いに来れなくなるから。
仕事を再開してしまえば子育てとの両立だけで手一杯になる。母はそれを恐れていた。
だから昨日、私は母に言ってやった。
「私のことはいいから。働いてきて?」
母は最初、随分とショックを受けた様子で、「毎日会いに来られなくなるの嫌」だとか「会えないくらいなら仕事なんてしたくない」だとか子供のように駄々をこねていたけれど、私が根気強く諭した甲斐があってか、最終的に渋々了解してくれた。
全く手間のかかる母親だなぁ。
…まぁ、一番手間がかかるのは父だけれど。
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作者名:逢苑(Zn) | 作成日時:2018年3月20日 22時