-44 ページ44
.
.
.
開けっ放しのカーテンから
時々ヘッドライトの灯りが家の中を
変則的に照らすだけで
あとは馬鹿みたいに薄暗い場所に
突っ立ったまま二人とも。
ジミンの言葉に無駄に髪を触っていた手が
ふと止まってしまって
そのまま再びジミンに目を向ける。
「やだった？俺があんな風で」
二度目の同じ質問をしたジミンは
何故か酷く悲しげで
「そんな事…」
今にも泣き出しそうな表情を見たら
別に嫌とも思ってないのに
気の利いた言葉が出ない。
それでもジミンは"そっか"と
また何かに納得した様に微かに笑って
「じゃあ、いい。
Aがそう思わないならいいや」
私が触ってた辺りを
あの子の肩を抱いていた方の手で撫でて
覚束ない足取りで部屋の奥へと進んだ。
ジミンが言う"あんな風"とは
どの時の事なのか判断がつかない。
確かに私の知ってるジミンとは違ったけれど
そこまで自分を卑下するような事ではないと思うし
あんな表情をする必要もない。
それをそのまま
ジミンに言えば良いのかもしれないが
やっぱりそんな簡単な物じゃない気がして。
「A」
ベッドが軋む音と同時に
背中にジミンの声が伝わる。
「本当は、今日もただ
来ようって思ってたんだけど」
敢えてジミンの方を向かず
"うん"とだけ相槌を打って
背中でジミンの雰囲気を感じる。
「Aが早く帰るって言われてるの思い出して
俺のせいだと思って、それで」
「違うよ。」
そこで振り向かずには居られなかった。
寝返りを打つと
同じベッドで横たわるジミンと
予想よりずっと近い距離で目が合う。
虚な目のジミンのそれは
一緒にいるのに独りぼっちの様な
何かに諦めた様な
そんな表情をまともに見たら
私の手が勝手に動いたのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1502人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のぐり(プロフ) - あいさん» ありがとうございます。好きだと思って貰える物が書けているだけで嬉しいです。ぜひ最後までお付き合い下さいね😌 (2021年10月14日 22時) (
レス) id: 0deac69280 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 主人公とジミンの友達とも恋人とも定義できないもどかしい距離感や心境の細かな変化が切なくてとても引き込まれます。今とても好きなお話の一つです。これからも楽しみにしてます。 (2021年10月14日 1時) (レス) id: b63ed12e8b (このIDを非表示/違反報告)
のぐり(プロフ) - つさん» ありがとうございます。心が軋むってそんな表現をして貰えるとは本当ありがたいです。良ければ最後までお付き合い頂けると嬉しいです😌 (2021年10月11日 17時) (レス) id: 0deac69280 (このIDを非表示/違反報告)
つ(プロフ) - のぐりさんのお話いつも楽しく読ませていただいてます。登場人物の行動や言葉が気持ちを物語っていて、その表現にいつも引き込まれています。このお話もジミンの一挙手一投足が苦くて悩ましくて心が軋みます。これからも応援しています。 (2021年10月11日 0時) (レス) id: 208f288d8d (このIDを非表示/違反報告)
のぐり(プロフ) - かこさん» ありがとうございます。拙い文章ではありますが、そう言って貰えると本当に嬉しいです！最後までお付き合い下さいね😌 (2021年10月6日 21時) (レス) id: 0deac69280 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のぐり
| 作成日時：2021年10月6日 0時
