44 眠り姫の起こし方と言えば ページ45
No side
医務室。ギャーギャーと男達の騒がしい声が聞こえている。彼女が寝ている中騒がしくなっている理由は彼女を起こそうと何か言い争っているらしい。
ut「いやぁやっぱり眠っている姫様を起こすのにはキスやろ。」
kn「王子様からのな！」
tn「い、いやいやいや！！無理やって！」
どうやらキスを強要しているらしい。文面からしたら男同士のキスに見えるが決してそんなんではない。この話はベーコンレタスはないんでな。
gr「案外効くかもしれないぞ？本当に目覚めるならええやん。」
tn「いや、そう言われると…」
トントンは目線をあちらこちらに移動させながら悩んでいる。一方でぼーっと彼女を見つめるひとらん。それに気付いた大先生がげどちゃん？と近付いた。ひとらんは彼女を見つめたままでいる。
ht「…」
ut「？げどちゃ…！」
次の瞬間。彼女とひとらんの唇が静かに重なった。大先生が目を丸くしている。全員が其方を見て呆然としていた。然し彼女は起きない。彼は立ち上がるとトントンにやっぱりトントンだよ、と悲しそうに微笑んで医務室を後にした。
tn「…ひとらん、」
ut「…僕げどちゃん見てくる。」
大先生は医務室からでるとひとらんが行ったであろう方向へと歩いて行った。静まった医務室の中、彼が、トントンが静かに彼女の元へと歩いて行った。
______
ht「………」
ut「げどちゃん。」
テラスにて。彼は手摺にもたれかかっていた。大先生は全て見ていたのだ。彼が実は唇にはキスをしていない事。額にしただけで彼は唇にキスはしていなかった。他のみんなからの角度からしたら唇にしたように見えただろう。
ht「…好きだったよ。いや、今も好き。…でもさ、やっぱりAにはトントンなんだ。」
ut「…げどちゃん。よう頑張ったで。」
ht「…はは。A傷付けたら殴ってやろう。」
ut「せやなぁ。そん時は殴ったろ。」
彼は笑いながら目から涙をぽろぽろと流していた。
とある優しき男の失恋。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 70人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ノエル・ウィール | 作成日時：2020年2月26日 19時
